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衆院選のファクトチェックでFIJがオンラインイベント 毎日新聞など事例報告


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠
総選挙のファクトチェックに関するFIJのオンラインイベント=24日

31日投開票の衆院選に向けたメディアのファクトチェックを推進するファクトチェック・イニシアティブ(FIJ、瀬川至朗理事長)は24日、衆院選のファクトチェック記事に関するオンラインイベント「2021総選挙ファクトチェック『政治家発言やSNS情報は事実に基づいているか?』」を開催した。既に選挙に関連したファクトチェック記事を配信している新聞社やネットメディアから5人が現状を報告した。

FIJによる選挙でのファクトチェックプロジェクトは4年前の総選挙以来4回目。琉球新報もFIJと提携している。提携するメディアパートナーの毎日新聞やネットメディアのインファクト(InFact)などが配信した衆院選関連のファクトチェック記事はこれまでに11本に上る。そのうち8本は政治家の発言を検証した。

瀬川理事長はイベントの冒頭、接戦の選挙区もある中で政党幹部らの発言で誤情報が多くなっている印象があると述べた上で「ファクトチェックに必ずしも熱心ではない放送局や新聞など大手メディアが、各党幹部の誤情報の混じった発言をそのまま国民に伝えていて、それを検証していない状況がある。それこそ投票行動に必要な情報をゆがめていると言える」と指摘した。

学生と一緒にファクトチェックを進めるネットメディアのインファクト(InFact)の立岩陽一郎編集長は「ファクトチェック記事は効いていると思う。違うんだということを言っていくことの意味はあると感じている」と手応えを語った。実際に記事化に携わった同志社大の神山翔太郎さんも報告した。

ジャパンインデプス(Japan In-depth)も学生がファクトチェックしている。安倍宏行編集長は、携わった学生の感想として「今まで政治家の発言を疑うことはなかったが、やってみて政治家本人が気づかないほど簡単に誤解を招く発言をしていた。正しいデータに基づいた建設的議論をすることが民主主義の根幹だ」との声を紹介した。

毎日新聞デジタル報道センターの日下部聡センター長は「選挙のたびに出てくる誤った言説を、きちっとチェックしておくことで、将来にわたってストックになるのではないか」と話し、ファクトチェックが果たすデータベース機能の重要性に言及した。

このほか早稲田大の瀬川理事長のゼミ生によるネットメディア、ワセッグ(Wasegg)から鳥尾祐太さん(4年)が、自身がしたファクトチェックで政党にも問い合わせて確認したやり方を説明した。

この日のオンラインイベントはこちらで見られる。

FIJのメディアパートナーによる記事を集積した総選挙ファクトチェックはこちら