那覇で大城立裕さん追悼シンポ 大城文学から沖縄への思いたどる


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 瀬底 正志郎
大城立裕氏の文学などについて意見を述べる登壇者ら=24日、那覇市おもろまちの県立博物館・美術館

 沖縄初の芥川賞作家・大城立裕さんが昨年10月27日に他界してから約1年となるのを機に、大城さんの文学について考える「大城立裕の文学と遺産 追悼シンポジウム」が24日、那覇市の県立博物館・美術館で開かれた。作家や文学研究者、大城さんと交流があった文化関係者らが登壇し、大城文学から見える沖縄のアイデンティティーや言葉への思いなどについて意見交換した。約200人が来場し熱心に聞き入った。 

 第1部の基調講演では芥川賞作家の又吉栄喜さん、元名桜大学学長の山里勝己さん、沖縄国際大学准教授の村上陽子さんが登壇した。又吉さんは他の小説と比較して大城文学の特徴を考察し「作家は必ず自分の根っこにあるものが作品に影を落とす。(大城さんの作品に)南米3部作、戦時中、戦後の3部作などがある。これらは人生の根っこにある」などと指摘した。

 大城さんが琉歌の韻律を駆使して新作組踊を相次いで創作したことに触れた山里さんは「琉球語とは何かを私たちに問うているのではないか」と読み解いた。

 村上さんは「大城さんのバランス感覚、目配りのきいた多彩なテーマ性は70年を超える長い執筆歴と無縁ではない」と話し、さらに大城文学の研究を進展させる大切さを語った。

 第2部のパネルディスカッションでは名桜大学教授の小嶋洋輔さん、恩納村文化情報センター係長の呉屋美奈子さん、作家の崎浜慎さん、むぬかちゃー(ライター)の知念ウシさんの4人が登壇し、作家で元琉球大学教授の大城貞俊さんが進行役を務めた。