オオヤドカリに学ぶ 命をつなぐということ<北谷の海辺散歩・生物調査から>12


この記事を書いた人 Avatar photo 大城 周子
海、砂浜、海岸林のつながりが残った美しい砂辺海岸(北谷町教育委員会提供、パノラマ合成)

 最終回は、皆さんも一度は見たことのあるオカヤドカリの生態を通じて自然のつながりの大切さをご紹介します。
 オカヤドカリはその名の通り、陸の海岸林などが主な生活の場です。普段は陸で生活していますが、次世代を残すために夏の大潮の満潮時に波打ち際まで出てきて子ども(幼生)を海に放ちます。幼生は一時期を海で暮らして再び陸で暮らすようになります。つまり海、砂浜、海岸林の自然のつながりがなくなると、オカヤドカリは命をつないでいくことができません。
 北谷にもわずかではありますが、このつながりがある自然海岸が残されており、オカヤドカリをはじめ多くの生き物が生息していることが分かってきました。本島中南部ではこのような環境は貴重になりつつあります。この北谷の美しい海岸がこれからも保全されることを願っています。(藤彰矩・北谷町教育委員会学芸員、小澤宏之・沖縄県環境科学センター所長)