―新たな沖縄振興はどうあるべきか。
「現在の沖縄振興予算は、米軍基地があるがゆえの予算という形になってしまっている。沖縄振興は、沖縄が米軍の統制下に長くあったことによるさまざまな弊害があり、その解消を前提にしている。基地と振興がリンクするような現在の振興策はこの特殊事情を度外視するもので、改めないといけない」
―基地があることによる弊害とは。
「例えば児童福祉の分野だ。米軍統治が長かったために、認可保育園が明らかに少ない。民主党政権で、少子化担当大臣をやった時、沖縄の待機児童解消のための基金を政府予算で作った。当時も痛感したが、他の都道府県と同様の政策ではダメな面がある。『子ども貧困』の問題もそうだが、社会保障や都市計画、福祉教育などまだまだ足りていない部分がある」
―内閣府が示した新たな振興の基本方向でも離島防衛を打ち出している。
「離島に住む人々の意思を無視するやり方だ。国と自治体が対等であるとする憲法の理念にも反する。まずは地元の方々がどういう未来を描き、作ろうとするのか。そこを無視し、国の言うことを聞けというのはおかしい」
―格差が問題視されているが、沖縄はより深刻だ。
「もはや『自助』に頼るのは限界だ。税金の取り方と使い道を変えるべきだ。まずは、大企業の内部留保に3年間課税する。『子どもの貧困』の対策でいえば、給食費の無償化や高校授業料の完全無償の実施、大学授業料の段階的な引き下げなど『現物支給』を政府主導で実施しなければいけない」
―辺野古新基地建設に対する考え方を聞きたい。
「明確に反対だ。軟弱地盤などさまざまな問題が露呈した現行計画には、米国内でも異議が出ている。浦添市に代替施設の建設が計画されている那覇港湾施設を含め、基地が集中する沖縄にこれ以上の新基地を作るべきではない」
―辺野古新基地建設への本島南部の土砂使用計画については。
「防衛省が計画を中止すると言えばいい。ところが、防衛省は何も決まっていないという答弁を繰り返すだけで、遺骨収集を所管するはずの厚生労働省も問題を放置している。ただ、全国各地の自治体の議会で反対の意見書が採択されている。沖縄戦戦没者の遺骨が眠る南部戦跡の土砂は使うべきではないという民意は広がっている」
(’21衆院選取材班)