コロナの次は軽石「死活問題だ」 観光、漁業、日を追うごとに深刻化


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普段は観光客がシーカヤックなどを楽しむ久良波海岸。大量の軽石が白いビーチを覆っている=26日、恩納村山田

 【北部】軽石が県内各地に漂着している件で、北部地区では観光や水産への影響が日を追うごとに深刻化している。恩納村では久良波海岸の白い砂浜が灰色の軽石で覆われ、観光客から「残念だ」と落胆の声が上がった。今帰仁村の運天漁港ではスロープに堆積した軽石で漁船が出港できず、漁業関係者は「コロナの次は軽石被害。ダブルパンチだ」と嘆いた。

 恩納村で軽石の漂着が多いのは村南部の久良波海岸や宇加地地区。久良波海岸では26日、波打ち際で遊ぶ観光客が見られた。東京都から家族で訪れた女性(36)は「早くきれいな海に戻ってほしい」と語った。

 同海岸そばのマリンショップ「アルガイド沖縄」によると軽石は約1週間前から漂着し始め、26日は量が増えた。原田誠一代表は「コロナ禍がようやく落ち着き、今月末から修学旅行生の受け入れを再開するタイミング。軽石が原因のキャンセルは今のところ無いが、長引けば影響が心配だ」と眉を寄せた。村は行政区やホテル、マリン業者を対象に、軽石を回収するための土のう袋を配布。村民や業者が集めた軽石を後で村が回収する予定だ。久良波海岸については、重機を使った回収も検討している。

 今帰仁村の運天漁港にも大量の軽石が漂う。漁船1隻が航行中、エンジンを冷やすため海水を吸い上げる装置「海水こし器」に大量の軽石が入り込み、船が動かなくなるトラブルが発生していた。

 20日に1時間ほど出港しただけで海水こし器の中に軽石が入った漁師の嘉数悟志さん(34)は「エンジンは500万円ほどかかり、故障すると死活問題だ。このまま漁ができない状態が続くと生活できなくなる。県や国は補償も含めて対応を検討してほしい」と訴えた。

スロープに大量の軽石が堆積し、船が出せなくなっている運天漁港=26日、今帰仁村
運天漁港から20日に出港した船のエンジンの海水こし器に入り込んだ軽石=26日(嘉数悟志さん提供)