船舶修理などを手掛ける新糸満造船(糸満市)がこのほど、船体に付着した貝殻を粉砕した液体を使い、家畜のふん尿を処理する新システムを関係者に公開した。従来の処理システムに比べ大規模な施設が必要なく、中小規模の畜産業者でも導入が可能という。
船舶修理をするには、陸に揚げた船の船底に付着した貝殻を除去し、貝殻は産業廃棄物として処理しなければならない。同社は松浦快奏会長を中心に貝殻を有効利用できないか研究してきた。松浦会長の兄の松浦寛次郎氏が代表を務め、微粉砕の技術を持つナコス(山口県)とともに研究を進め、今年5月に処理システムが特許登録された。
貝殻の微粉末の水溶液は強アルカリ性で、大腸菌などを殺菌できる。微粉末は多孔質で、ふん尿中の有機物を吸着する効果もあるという。
デモンストレーションでは、貝殻微粉末水溶液をふん尿水に混ぜてかき混ぜて静置した後、凝集剤を加えて浮き上がった汚泥と液体を分離した。液体は水質汚濁防止法の排出基準を満たすという。
松浦会長は「産業廃棄物の貝殻は県外での処理に費用が掛かるが、活用することで環境保護に貢献できる。一般的な処理方法と比べて大規模な装置が必要ないのでコストが安く、処理も速い。南洋の島国などでも活用できる技術だと思う」と話した。