「比例代表」って何? 衆院選の選挙方法Q&A


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 31日は衆院選の投開票日です。期日前投票も行われており、投票所では2枚の投票用紙を受け取ります。一つは「小選挙区」、もう一つは「比例代表」で投票します。なぜ投票用紙が2枚あるのか。衆院選の選挙方法「小選挙区比例代表並立制」について一問一答形式でまとめました。

 ―衆議院議員は全体で何人が、どのような方法で選ばれるのですか。

 「衆議院の議席は定数465人で、二つの選挙方法で議員が選ばれます。一つは各選挙区の候補者を1人選ぶ『小選挙区』(定数289人)で、沖縄は4選挙区で計4人選ばれます。もう一つの方法は政党を選ぶ『比例代表』(定数176人)です。投票所で小選挙区と比例代表の2枚の投票用紙で投票します」

 ―政党を選ぶ比例代表について教えて下さい。

 「全国を11の選挙区(ブロック)に分けてブロックごとに政党を選びます。沖縄は定数20の九州ブロックに入ります。比例代表は政党が提出した名簿の上位から選出する『ドント方式』を採用しています。ブロックの各党の総得票を1、2、3…と整数で割っていき、大きい数字の順に定数に達するまで議席を割り振ります。ドント方式は大政党に有利とも言われます」

 ―候補者は、小選挙区と比例代表の両方に立候補することができますか。

 「重複して立候補できます。重複立候補者は、小選挙区で落選しても、その党がたくさん票を得れば、比例代表で復活して当選する可能性があります。『比例復活』と言われています」

 ―小選挙区の落選者が同じ順位で並んでいる場合はどうなるのでしょうか。

 「小選挙区の落選者が同じ順位に並んでいる場合、小選挙区の『惜敗率』の高い順に当選者が決まります。簡単に言うと『負け方の惜しい順』。相手候補に負けた票差の割合が小さい順で決まるんです」

 ―なぜこのような方法が採用されたのでしょうか。

 「以前は『中選挙区制』という仕組みでした。中選挙区は一つの選挙区から3~5人ほど選び、同じ政党から複数の候補者が出馬することもありました。身内同士で争うことが多く、政策よりも個人本位の選挙になりやすいことが問題になりました」

 「小選挙区制は選挙区で1人しか当選できず、大きい政党に得票が集中しがちです。『二大政党』が生まれ、政権交代がしやすくなる面もありますが、当選者以外の候補者に投票した人の票は議席を得られなくなり、少数意見が反映されなくなります。これらの票は『死票』と呼ばれ、小選挙区で多くなる傾向があります。そこで、政党の得票数に応じて議席を配分できる比例代表を組み合わせるようになったのです」
 (’21衆院選取材班)