
サッカーJ2のFC琉球を2年10カ月率いた樋口靖洋前監督がチームを去ることになった。J2に昇格した2019年に就任し、攻撃的サッカーの礎を築き、チームに浸透させた。今季は前半戦で2位につけるなど好成績を残した。那覇市内で28日、インタビューに応じ、クラブや選手、沖縄への熱い思いを語った。
これまでを振り返り「1年目の開幕4連勝が印象に残っている」と語る。クラブのJ2デビューに素晴らしいスタートを切った。一方で「監督業は3年間が賞味期限だ」と考える。チームとしての蓄積を実感しながら、今季の5月ごろには「やっぱり3年ってマンネリ化するな、停滞する時期がくるなと漠然と感じていた」。
発想や変化を生み出しにくくなり、勝利を重ねても「難しい時期が来る。どうやって乗り切ろう」と考えていた。シーズン後半戦の失速に「やはり3年目の難しさかなと思った」。今季8試合を残しての解任に「結果が出なかったことに対して悔しい思いがある」と話した。

喜名哲裕新監督とは2人で話をして「頑張れ」と背中を押した。「喜名は沖縄出身のレジェンドだ。県民のクラブでもあるという意味を考えたら、琉球を率いる指揮官は喜名がやらないといけないし、僕の後は喜名だなと思っていた」
沖縄の選手は身体能力が高く「日本代表も必ず出る」と確信している。FC琉球や沖縄SVなどトップチームが裾野(すその)を広げる立場になり、県内の指導者が子どもたちを育てる役割を果たしてほしいと考えている。「指導者が自分たちのことだけ考えたら駄目だ。将来を見据えて子どもたちに接したら、沖縄の持ってるポテンシャルを引っ張り上げることできる」と強調した。
FC琉球のファンが増えたと実感しており、温かく支えてくれたことに感謝しているという。「まだまだ追究したいことがあるし、監督としてのサッカー人生は終わってない。(現時点で)何も話はないが、もしかしたら対戦相手として沖縄に来るかもしれない」と力を込めた。
(大城三太)