31日投開票の衆院選で、沖縄県内の有権者はどんな思いを込めて一票を投じるのか、街の声を聞いた。コロナ対策の徹底や子育て支援を手厚くして、安心して子どもを産める環境づくりを求める意見が上がった。「小さな声にも敏感に対応できる政治の実現を」「性差にとらわれない社会にしてほしい」。誰もが暮らしやすい社会の実現に向け、公約を見極めたいと思いを語った人もいた。
■若者意見代弁して 玉那覇明理さん(浦添市 25歳、会社員)
昨春、入社した途端に新型コロナ感染が拡大した。観光業で働く身として雇用対策も大事だが、コロナ対策もしっかりしてほしい。コロナ禍で祖母に会うのを避けたり、家庭内感染を防ぐため、家でもずっとマスク着用で過ごしたりした。ワクチンの接種証明書や陰性証明書があれば安心して働けるし、もう少し自由に過ごせると思う。もう1年以上もいろいろと自粛している。友達と出掛けたい。もう少し若者にも目を向けて、若者の意見を代弁してくれるような政治家がいてほしい。
■性差なくす議論を 平良亮太さん(浦添市 27歳、多様性ファシリテーター)
性的少数者の分野では同性婚の議論が進み始めている。一方で、パートナーシップ制度に関しても同性や異性にかかわらず、関係性や選択肢の多様化という点で議論を深めてほしい。結婚までは希望せずとも、何らかの形で社会的承認を得たい人は多い。大阪のように都道府県単位で制度ができているところがあり、取り組みが進むことを望む。性別表記についても、男女だけでなくそのほかを追加するか、性別欄そのものをなくすといった議論が不可欠だ。
■経済対策を重要視 砂川昭範さん(宮古島市 50歳、飲食店経営)
何より経済対策を重要視して投票する。県民所得は全国でも下位にある。沖縄は観光立県といわれ、いい素材があるはずだ。活用して所得を上げてほしい。コロナ対策も大切だ。飲食店は我慢に我慢を重ねてきた。回復へ向かう施策に取り組んでもらいたい。これまでは市、県、国の連携ができていないと感じる。認証制度もそれぞれが出している。アクリル板設置など細かい手法も今のやり方でいいのか。対策を決める場に現場の人を入れて取り組むようになってほしい。
■消費喚起の施策を 仲地米子さん(名護市 78歳、飲食業)
新型コロナウイルスの感染拡大がようやく落ち着いたが、みどり街(名護市の歓楽街)にはなかなか客足が戻らない。政治家には、とにかく景気を良くしてほしい。消費を喚起するような施策を期待する。小学生から大学生まで6人の孫がいるので、子育て支援も充実させてほしい。子ども一人を育てるのにとてもお金がかかる。医療費をはじめ、子育てにかかる費用を地域差なく無償化して、若い世代がもっと子どもをたくさん産み育てられる国にしてほしい。
■生活の延長線上で 東佳祐さん(那覇市 19歳、学童指導員)
衆院選に向けた若者の演説動画をスマホで見て「何かしたい」と思い立ち、投票に行こうと呼び掛けるチラシを国際通りなどで配り始めた。新型コロナウイルスの影響で若い人も政治に興味が向きつつある。選挙って固く考えがちだけど、日々の生活の延長線上で、まずは行ってみることが大切だと思う。働いている学童で小学1年生に「人生が早く終わってほしい」と言われたことがある。こうした小さなメッセージを大人がつなぎ、社会を変える原動力にすべきだと思う。
■育児と仕事両立へ 白石夕子さん (石垣市 42歳、主婦)
英国に留学した経験があり、その際に高等教育が無償の国もあれば、お金がなければ教育を受けられない国もあることを見聞きした。貧富の差なく、能力がある人が教育を受けられるべきだと思うので、教育の無償化を望んでいる。また私は小学生の子どもを育てている。できるだけ子どもに時間を割きたいと子育てに専念していて、フルタイムでは働きづらい。子どもの教育をとるか、仕事をとるかではなく、子育てをしながらでも働きやすい社会であってほしいと願う。
■理想でなく道筋を 嘉手苅剛さん (沖縄市 33歳、放課後等デイサービス職員)
多くの人がそうだと思うが、新型コロナウイルスの問題が出てから政治への不満が多い。経済や福祉でも行政からさまざまな対策は出てきたが、目の前の対策にはなっても、効果が一時的なものだったり、長期的な出口が見えなかったりする。助成金も本当に必要な人に十分に届かず、あまり必要ない人にも届いている感じもする。言いっ放し、やりっ放し、理想だけで終わらず、「問題をこういう形で解決する」と道筋をしっかり示す候補者に投票したい。