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「なぜ第32軍司令部壕の保存・公開を求めるのか」(第32軍司令部壕の保存・公開を求める会主催)と題したシンポジウムが30日、那覇市の琉球新報ホールで開かれた。
戦争体験者が減少する中、「戦争の記憶は人からもの(戦跡)に移る」(當眞嗣一・グスク研究所主宰)として、戦争の歴史を継承する観点から戦争遺跡の重要性が提起された。
高山朝光氏(元県知事公室長)、石原昌家氏(沖縄国際大名誉教授)、當眞氏、牛島貞満氏(牛島満・第32軍司令官の孫)、平良次子氏(南風原文化センター館長)が登壇した。琉球新報客員編集委員の藤原健氏がコーディネーターを務めた。
沖縄考古学会長を務めた當眞氏は「ものから歴史を記録しなければいけない」と強調した。かつて文部省が沖縄戦の住民虐殺の記述を教科書から削除しようとしたことを念頭に、考古学の立場から沖縄戦を記録していく重要性を訴えた。
高山氏は、元沖縄開発庁長官の山中貞則氏が首里城地下に司令部壕がなければ首里城は攻撃を受けなかったとの見方を示したことに触れ、首里城と32軍壕の歴史は一体だと強調した。
一方、遺構が「殉国美談」に使われかねないとの懸念も示された。石原氏は「非軍事の視点で保存公開をする。軍事に利用されることは何としてもはねのけなければいけない」と述べた。