73歳、合格率11.5%の難関資格に合格! 第三種電気主任技術者試験「諦めずにトライ」


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難関試験に合格し、笑顔を見せる喜久村一さん=1日、豊見城市内

 豊見城市の喜久村一さん(73)が、難関の国家試験「第三種電気主任技術者試験」にこのほど合格した。8月22日に実施され、合格率は11・5%だった。喜久村さんは「勉強は楽しかった。諦めずに前向きにトライすれば、何でもできると思った」と笑顔を見せた。喜久村さんが勉強のために通った沖縄電気技術者養成所(宜野湾市)の渡嘉敷唯幸所長も「70代での合格は、資格取得を目指す若い世代の励みになる」と喜んだ。

 喜久村さんは1974年に琉球大理工学部卒業後、NHKや国際協力機構(JICA)で放送通信技術の運用を担当し、東京を拠点にインドネシアやマレーシア、ブータンで仕事をしてきた。現在は県内離島や本島北部にあるテレビやFM中継所の電気設備の保安業務をしている。

 2019年、現在の仕事に役立てるため、事業用電気工作物の工事、運用などが可能となるこの試験に初挑戦。3年間で理論、電力、機械、法規の4科目に合格しなければならず、同年は独学で理論と法規に合格した。20年に電力と機械に再挑戦したが不合格だった。

 21年度はラストチャンスの年。一念発起し、朝は午前4時に起きて同7時まで勉強し、週に2回養成所で学んだ。予習復習は欠かさず、毎日のように養成所に通った。試験直前の約1カ月間は東京五輪・パラリンピックで使用された札幌の中継放送所の保守業務に当たり勉強ができなかった。沖縄に戻ってから渡嘉敷所長や、沖縄電力で電気技術管理者をしていた講師の芳田眞喜人さん、同じように合格を目指す仲間とともに再び猛勉強に励み、念願の合格を果たした。

 喜久村さんは「一緒に学んで励ましてくれる人がいたから合格できた。これからは人材育成などにも携わりたい」と話した。
 (嶋岡すみれ)