観光従事者「もう働きたくない」 コロナ禍で困窮相談大幅増


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深刻な生活・経済苦を相談する人たちが途絶えることはない=10月27日

 新型コロナウイルスの感染拡大は、県がリーディング産業と位置づける観光産業で働く人々の暮らしを直撃した。那覇市就職・生活支援パーソナルサポートセンターの永吉哲三統括責任者によると、相談に訪れた人は「観光業は良い時は良いけれど、すぐ首を切られる」「もう二度と観光関係で働きたくない」などと話していたという。観光業の振興が沖縄の活性化に貢献する半面で、経済状況が悪化すると業界関係者を中心に生活困窮に陥るリスクがあることが明らかとなった。

 永吉さんによると、観光関連で職を失った人の中には「資格を取得して安定した仕事に就きたい」(ホテル清掃業、30代女性)と、パソコンのスキルを高める職業訓練を受けている人もいるという。

ボランティアやフードバンクから提供を受けた米や缶詰などの食料。備蓄し、差し迫った生活困窮者に渡す=4日、那覇市泉崎のグッジョブセンターおきなわ内の市就職・生活支援パーソナルサポートセンター

 「電気やガスを止められた」「食べるものがない」といった、差し迫った状況を訴える人も増えている。ボランティアやフードバンクから提供を受けた米や缶詰などの備蓄食料を緊急的に渡すこともある。

 相談者の傾向として、ひとり親が増加している。昨年8月の日曜日に那覇市松山で実施した相談会には、母子世帯を中心に24世帯が相談に訪れた。松山で開催したのは、観光関連の夜の街で働く、ひとり親の女性への支援につなげる狙いもあったという。

 那覇市は今月22日午前10時~午後4時、「就職・生活なんでも相談会」を泉崎のグッジョブセンターおきなわで実施する。相談無料。多重債務、法律、就労、生活保護、住居確保給付金、こころの相談などを幅広く受け付ける。当日は生理用品の配布と食料の提供も行う。

 問い合わせは那覇市就職・生活支援パーソナルサポートセンター(電話)098(917)5348。

 那覇市以外にも就職・生活支援パーソナルサポートセンターは県内5カ所にあり、全県を網羅している。久米島町にもある。
 (中村万里子)


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