1リットル200円超も…ガソリン高騰、離島を直撃「車がないと何もできないのに」


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 ガソリン価格の高騰が続く中、特に離島では高値が暮らしを直撃している。レギュラーガソリン1リットルの県内平均価格は1日時点で173円20銭だが、南大東島、石垣島、宮古島など多くの離島で180円を超え、日本最南端の有人離島・波照間島は200円を超すこともある。コロナ禍を受けた産油国の減産が価格高騰の主な要因とみられ、国際的な問題が沖縄の「島ちゃび(離島苦)」として波及している。

 宮古島は11月から1リットル当たり184円と高騰し、多良間島では187円にも上る。

 宮古島市平良のガソリンスタンドで給油していた砂川克信さん(61)は、「180円超えで、びっくりしている。島の暮らしは車がないと何もできないのに」とこぼす。島ではそれぞれの給油所が曜日などで値引き日のサービスデーを設けている。砂川さんは「1円でもお得なところを探す。庶民の知恵だけど、国や県になんとかしてほしいね」と顔をしかめる。

 燃料価格高騰は市民生活のみならず、1次産業への影響も深刻だ。伊良部漁協の伊良波宏紀組合長は「船の燃料価格も上がり続けている」と説明する。新型コロナウイルスによる飲食店の営業自粛や、観光客の減少で魚を卸す先がなく、海産物の需要は激減している。「魚が売れない上、燃料は高くなる。ダメージは深刻だよ」と頭を抱える。

 沖縄は復帰特別措置法により、国税の揮発油税と地方揮発油税が軽減されている。軽減分の一部を県が独自に石油価格調整税として徴収し、離島への海上輸送費をほぼ全額補助するため、仕組み上は本島も離島も価格は変わらない。しかし、離島は販売量が少なく給油所の規模も小さい。経営上の問題が絡み、本島より高値になりやすい。

 竹富町波照間島で唯一のガソリンスタンドを運営する波照間石油販売所の代表、西石垣洋さん(39)は、最近では1リットル当たりのレギュラーガソリンが税込みで200円を超す週もあると明かす。西石垣さんは「島は農家も多く、軽トラックや農機具に燃料を使う。島民の『きつい』という声もある」と話す。

 また、沖縄本島から県内離島へ輸送される石油製品への県の運賃補助金が、本年度はまだ入っていないといい「県からの補助が遅い。今後、こうした状況が続けば、輸送費をガソリン価格に転嫁するという状況になる可能性もある」と、苦しそうに話した。

 南大東村のJAおきなわ南大東SSは180円。喜屋武寿彦マネージャーは「この金額は初めて。今は店の収支は変わらないが、これ以上高値が続くと厳しい」と話した。


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