全国一高い!1209円の値上がり 沖縄の電気料金の上げ幅が大きいのはなぜ?


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 世界的な燃料の価格高騰を受け、電気料金の上昇が続いている。沖縄電力の11月の電気料金は、一般家庭が最も多く契約する従量電灯の平均的モデル(月間使用量260キロワット時)で7993円で、現在のモデルに移行した2016年11月以降過去最高額となっている。12月分は28日に発表予定だが、11月からさらに141円程度値上げされ、8134円程度となる見込みだ。1月からの値上がり額は1209円となり、全国大手電力10社の中で最大の上昇幅となる。

 世界経済の回復によって原油や石炭価格が上昇しており、今年4月以降、燃料価格に連動した「燃料費調整制度(燃調)」による電気料金が毎月上昇している。

■コロナで上下

 1996年に導入された燃調は、電力会社の企業努力の及ばない燃料価格や為替レートの影響を電気料金に自動的に反映させ、電力会社の経営環境の安定を図る。過去3カ月の平均燃料価格に基づき、電気料金が決まる。

 沖電の場合、原油と石炭価格に基づいて決まり、液化天然ガス(LNG)の価格変動は燃調には反映されない。沖電から新電力に販売される卸電力の価格も連動して変わる。

 大手電力10社はそろって12月に値上げする見通しだが、値上げ幅は沖電が最も大きくなる。沖縄は電力の需要規模が小さいことや地理的な要因から、原子力発電や大規模な水力発電がなく火力発電の割合が大きいため、燃調の影響を受けて電気料金が上下しやすい。

 実際、新型コロナウイルス感染症の影響で世界的に経済が停滞し原油、石炭の価格が下落した2020年の前半は、沖電の電気料金も安くなり、20年10月の平均的モデル料金は6769円と最近3年間で最も安くなった。

■省エネの努力も

 新型コロナによって大きな打撃を受けている県経済にとって、電気料金の高騰が回復の重い足かせとなることが懸念される。

 りゅうぎん総合研究所の武田智夫常務は「需要の伸びは緩やかな一方で、コストが急上昇している。ガソリンや食材の価格とともに電気料金が上昇し、経済回復に水を差す要因の一つとなる」と指摘する。

 県内の食品製造事業者は、工場の電気代が「昨年より約3割増えた」とため息をつく。「経済活動が再開してきたことで稼働率が上がった部分もあるが、コストの上昇が大きい。商品の価格をすぐに上げるわけにはいかず、利益が目減りしている。とても痛い」と話す。

 今後も料金低下には期待しづらいと見通していて、無駄な電気を使わないようにこまめな消灯などを呼び掛けているという。「将来的に省エネな設備を導入しようと計画していたが、少し前倒しすることも考えている。なんとか努力していくしかない」と話した。
 (沖田有吾)


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