沖縄電力→新電力の切り替え1万件超 参入増で「スイッチング」加速


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 沖縄県内で小売り電気事業者を切り替える「スイッチング」を申請した件数が、2016年4月の電力小売りの全面自由化以降、5月末で累計1万件を突破したことが電力広域的運営推進機関のまとめにより分かった。電気事業に新規参入した電力会社(新電力)の増加により、沖縄電力から新電力に切り替える家庭や事業所が増えたとみられる。

 離島県のため、県外の電力系統とつながっていない沖縄では、安定的な電力確保が課題となり、18年4月末時点ではスイッチング件数は約100件と低迷していた。だが、同年4月に沖電が電力の卸販売を始めたことによって新電力が本島内で一定の電力を調達することが可能となった。これに伴う新電力の参入増などで、切り替えの件数を大きく押し上げた。

 電力・ガス取引監視等委員会が17日に発表した資料によると、県内の3月の販売電力総量46万3523メガワット時のうち、新電力の販売電力量は2万1838メガワット時で、シェアは4・7%と5%目前まで増加している。家庭や小規模事業所などを主な対象とする「低圧電力」が大きく伸びており、18年10月の491メガワット時から今年3月は3256メガワット時となった。

 一方で全国のスイッチング総数約1200万件と比較すると、沖縄の新電力の普及は低水準といえる。電力自由化に詳しい沖縄国際大非常勤講師の玉栄章宏氏は「電力自由化は、安い電力の供給による経済振興と国民生活向上を目的としている。県内の自由化が早めに本土並みになることを期待したい」と話した。

 新電力の参入が相次ぎ、競争が激しくなっている。県内では現在、予定も含めて8社が参入している。16年から県内で電力販売するシン・エナジー(神戸市)沖縄営業所の上地正規所長によると、県外資本の新電力が電話営業を盛んに行い、低圧の契約を獲得している動きがあるという。

 上地所長は「競争は激しくなっていくが、品質に問題はないと知ってもらうことで新電力の普及が進むので競争はむしろ歓迎したい。価格という付加価値では負けない自信があるので、新電力が広がれば選ばれると思う」と話した。

 電力の確保も課題となる。沖縄ガスとイーレックス(東京)が出資する沖縄ガスニューパワーは、太陽光や、クリーンセンターの余剰電力を入札で確保し、沖縄電力の卸電力は使用していないという。担当者は「全国のような取引市場がなく、(卸売価格に)競争が働いていない」と指摘する。今後は、イーレックスなどがうるま市で建設中のバイオマス発電所から仕入れを予定している。

 沖電は「県内においても、本格的な競争時代を迎えていると強く認識している。お客さまに引き続き選択してもらえるよう努めていく」としている。(沖田有吾)