「石灰の塊」中に骨 藪地洞穴遺跡、さらなる発見期待


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 【うるま】「骨が含まれているかもしれない」。うるま市の藪地洞穴遺跡で出土してから数年間、「石灰の塊」として保管されていた遺物を専門家の助言を受けて市教委が今年4月以降に再調査した。県立博物館の協力を得て酸で石灰を溶かすと現れたのは貝塚時代最古の人骨だった。市教委は8日に開いた記者会見で「発見」に至る経緯を説明した。

 出土したのは洞穴の奥を掘り進めた「12層」と言われる地表面から約60センチの場所。9千~1万年前の地層とみられる。ただ今回調査したのは1メートル四方に限られる。この層の放射性炭素年代測定もされていない。「石しか出なかった」と認識されていたためだ。担当者は「洞穴の中には石灰分が多く(石と思われていたものが骨だったというのは)沖縄ではよくある事例だ」と説明する。

 人骨の周辺から無文(むもん)の土器片のほか、貝やイノシシの骨なども見つかった。最古の貝塚人が少なくとも土器を使い、貝を食べていたことが分かる。埋葬骨かどうかなど不明な点も多い。今後、調査が進めば旧石器人との関係など、沖縄で人骨などが出土していない「空白の時代」の解明につながるか注目される。

 藪地島は沖縄本島と橋でつながった無人島。1960年代に約7千年前の「ヤブチ式土器」が見つかったほか、縄文土器「爪形文土器」の破片などが出土している。近年も新発見が相次ぎ、9千~1万年前の「押引文土器」「波状文土器」が見つかり、県内最古級の土器とされる。最も深い場所からは多量の泥干潟の貝類も見つかり、貝塚の様相を示す。約1万年前の「沖縄最古の貝塚」だ。

 市教委は「今後の調査は未定だが(同遺跡は)保存状態が良好なため、さらに多くの発見が期待できる」としている。