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続けることの大切さ<伊是名夏子 100センチの視界から>109


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
娘とキャッチボール

 琉球新報のこのコラムも、2012年に連載コーナーをいただいてから、10年が経ちました。妊娠出産でお休みした時もありましたが、ここまで続けられていることに感謝の気持ちでいっぱいです。新聞社の方々と、読んでくださる皆さん、本当にありがとうございます。

 コツコツ続けることは自分を裏切らず、自分に自信がつくと私は信じています。この連載を続けているおかげで、距離的に離れていてもいつも沖縄とつながっていると思えます。また沖縄に帰るとたくさんの方々が「読んでいますよ」と声を掛けてくださいます。続けさせていただくことで、強いつながりができていると実感します。

 また、細く長く続けてきたことは、慣れと同じで、体に染みついているので、何か問題にぶつかったとき、意外な力を発揮することがあります。この連載のおかげで、新たな仕事につながったり、自分の考えをまとめやすくなったり、書くコツをつかめるようになりました。

 継続して力になることの強さは、人間関係でも同じだと思います。幼なじみをはじめ、長い付き合いの人との信頼関係は、一気に仲良くなった人よりも深い気がします。特別なことがあってもなくても、気を遣わずに一緒にいられる関係は、時間をコツコツかけてから得られているものでしょう。

 しかし負のコツコツで積もったつらさは、意外とダメージが大きく、力を奪われることがあるのではないでしょうか? 今回のコロナ禍がまさしくそうです。自粛を重ね、小さな我慢を続けることで、見えにくい、感じにくい苦しさ、つらさがたまっていきます。大きな衝撃だとダメージが分かりやすいのですが、地味に積もるものはなかなか自覚しにくく、切り替えも難しいです。

 また育児のコツコツたまる疲れ、つらさも痛感しています。パートナーが土日に子どもを見てくれるのはありがたいのですが、育児のつらさは抜け出せない毎日の積み重ねにあると思うのです。日々の睡眠不足、常に子どものことを頭の片隅に置き自分の予定を立てること、毎日の食事のやりくり。積み重なった慢性疲労や精神的なつらさはなかなかなくなりません。

 コツコツのもたらすものは、いい意味でも、悪い意味でも、大きいですね。意識してコツコツ休んで、コツコツ自分を大事にすることができたらいいですね。そして私も、コツコツ書き続けたいです。よろしくお願いします。


 いぜな・なつこ 1982年那覇市生まれ。コラムニスト。骨形成不全症のため車いすで生活しながら2人の子育てに奮闘中。現在は神奈川県在住。