男性教員がスカート丈点検、「イエローカード」で進学に影響…校則指導に疑問の声


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 子どもの人権を侵害するような「ブラック校則」に関して文科省は今年、都道府県に見直しを求める通知を出した。校則見直しの動きが加速する一方、校則そのものではなく、教師によって指導の判断が変わることや、適切な指導の在り方について不満や不安の声が県内の生徒や保護者から漏れ聞こえる。指導回数が大学推薦に影響する学校も複数あり、ある保護者は「納得できなくても従わなければならない実態がある」と憤る。

■何を反省すべきか

 県内の高校に通う男子生徒はこれまでに、数枚目の「イエローカード」指導を受けた。イエローカードとは、校則違反などで指導された場合に発行される警告書のようなもの。県内複数の学校で採用されており、一部の学校では一定の枚数を超えると学校から大学への推薦状が出ない。男子生徒と保護者は「校則を違反していいとは思っていない。軽微な指導で、その後の進学に影響するイエローカード指導をすることが納得いかない」と訴える。

 例えば腹痛でトイレに時間がかかり、授業に間に合わせようと慌ててズボンのベルトを締めながらトイレを出ると指導を受けた。理由は服装違反。男子生徒は「意図的にベルトを締めなかったわけではない。腹痛も生理現象で自分ではどうしようもない」とやりようのない思いを抱いている。

 別の日には、通学時に汗をかくため学校が認めているシャツを着て「ゼロ校時」の早朝講座に向かい、そのまま教室に入って指導された。校則によると、登校後は制服に着替えていなければならない。「入室前、先生は別のことで声を掛けてきた。そのときに一言声を掛けて、着替えるのを忘れていると気付かせてくれればよかったはずだ」。学校の慣例に当てはめると、男子生徒の累積枚数は、大学進学の推薦がもらえないとされる数に達した。県教育委員会は、教育課程外の早朝講座の時間帯にイエローカードの指導が行われていることについて「教育課程外の時間に、進路に影響するような指導カウントをするのは望ましくない」とコメントした。

■個に応じた指導

 一方、別の高校に娘を通わせる母親は「学校ごとの指導のガイドラインを作るべきだ」と訴える。先日、娘が泣きながら母親に電話をかけてきた。「学校に迎えに来て」。落ち着かせながら事情を聞くと、個室で複数の男性教員からスカート丈の指導を受けたという。男性教員らの前に立たされ、何度も足元を見られたことにショックを受けた。娘は帰ってからもしばらく動揺したままだった。

 「セクハラではないのか」。娘のスカートは、確かに校則より数センチ短かった。しかし経済的な事情で、スカートを買い直すことができない理由があった。保護者は「個に応じた指導になっていない。個室での複数の男性による指導も適切とは思えない」と憤り、「校則の見直しだけでなく、学校ごとの、指導のためのガイドラインが必要ではないか」と話した。
 (嘉数陽)