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「事業承継・M&A」中小企業に理解広がる 今後さらに活発化<けいざい風水>


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 先日、ある経営者の講演を拝聴する機会がありました。テーマは、経営者ご自身の経験を踏まえた「事業承継・M&Aについて」でした。県内でも有名な店舗を経営されていて、会社の業績もご自身の体調も良好でしたが、ご息女の都合で親族承継がかなわず約10年前にM&Aで外部承継をする決断をなされました。

 当時はまだM&Aに対する認知度も低く、「会社を売った」というネガティブな声が間接的に耳に届いて、心を痛めたこともあったとのことでした。近年においてはM&Aに対する認識も浸透し、「早めに対処されて流石(さすが)ですね」「家族のような社員も継続して雇用が守られて安心ですね」と評価していただける声に変化してきたとのことです。現在、イメージ通りのセカンドライフを送り、M&Aの経験談を世の中に広めるなどの啓発活動を通して、充実した日々を送っていらっしゃるのが印象的でした。

 2021年版中小企業白書によると、10年前と比べて事業売却(譲渡)することについて21・9%の中小企業がプラスのイメージになったとあります。また、M&A件数は増加傾向で推移しており、足元は感染症流行の影響もあり前年に比べ減少しているものの、今後さらに活発化していくと予想されます。

 50年、100年先を見据えた時に、「どのように事業承継していくのか」については検討必須なテーマです。事業承継・M&Aの理解や活用が会社の維持・成長につながり、従業員の雇用が守られ、沖縄の未来が元気になればと思います。

 (新都心崇元寺支店支店長 上地龍太)