32軍壕の公開向け調査 沖縄県の復帰50年事業 未試掘の第1坑道位置特定へ


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 沖縄県は15日、2022年度の日本復帰50周年記念事業として、那覇市の首里城地下にある日本軍第32軍司令部壕の公開に向け、これまで未試掘だった第1坑道の位置特定調査などを実施する考えを明らかにした。第1坑道の中枢部は1945年5月、首里から撤退する日本軍が壕内を爆破したため当時の米軍も含めて一度も調査ができていない。初めての調査により、司令部壕の保存・公開に向けた具体的な議論の進展が期待される。

 県は「復帰50周年となる22年度から壕内と周辺の環境調査の実施、その情報発信などを行う」と説明した。一方で、保存公開に向けたロードマップは示されなかった。

 15日に那覇市の県市町村会館で開催された「復帰50周年記念事業検討に向けた有識者会議」で説明があった。22年度からの新たな沖縄振興計画を審議する県振興審議会の各部会長ら、有識者が出席した。

 県はこのほか、復帰50周年産業振興記念事業として、インターネット上と実際の会場で産業振興の変遷などを紹介するイベントや県立博物館・美術館での復帰50年特別展の開催、米軍基地問題情報発信強化事業(仮称)、「県史現代編」の刊行など計40の事業を検討している。

 有住康則委員=琉球大名誉教授=は「首里城の復元は県民の大きな関心だ。32軍壕の保存も含めて県民にアピールして、後押しをしてほしい」と要望した。島袋伊津子委員=沖縄国際大教授=は「全体的に県民にどのような形で50周年記念事業を周知するのか説明がなかった。広報が不十分のため関係者だけで埋まる場合がある。来年が50周年であることが県民も県外の人も認知していない現状もある」と指摘した。