2017年に当時の安倍内閣が、野党側が要求した臨時国会の召集に3カ月以上応じなかったのは、国会議員の要求による召集の決定を内閣に義務付ける憲法53条に違反するとして、沖縄県選出国会議員ら4人が国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審第1回口頭弁論が15日、福岡高裁那覇支部で開かれた。原告で前参院議員の糸数慶子さんが出廷し、臨時国会が開かれず、質問の機会が奪われた悔しさを訴え結審した。判決は来年3月17日。
憲法53条は衆参いずれかの総議員の4分の1以上が臨時国会を求めた場合、内閣は召集決定しなければならないと定めている。少数派の意見を国会に反映させる趣旨とされるが、期限は明記されていない。
糸数さんは尋問で「3期15年、参院議員として仕事をしたが、国会の中では少数派の意見が通じないと強く感じた。憲法53条は機能していない」と述べた。当時は森友、加計学園問題が注目されていたが、米軍基地関連や主要農作物種子法(種子法)の問題もあったと指摘した。
昨年6月の那覇地裁判決は、臨時国会の召集については「憲法上の義務がある」と示しつつ、違憲かどうか判断せず、請求を棄却。同種訴訟は東京、岡山でも提起され一審判決はいずれも原告側の請求を退けている。