東京パラ車いすマラソン代表の喜納、挑む日本新記録 21日に大分国際


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
大分国際車いすマラソンに向けて調整に励む喜納翼=11日夜、沖縄市陸上競技場(ジャン松元撮影)

 東京パラリンピックマラソン種目の女子車いすT54で7位入賞を果たしたうるま市出身の喜納翼(31)=コザ高―沖縄国際大出、タイヤランド沖縄)が21日、2年前に日本記録を塗り替えた第40回大分国際車いすマラソンに出場する。目標はさらなるタイムの更新だ。9月の東京パラ後は新型コロナウイルス禍の収束で練習環境が徐々に元に戻り、「パラの時とはまた違ったレースができると思う」と手応えを感じている。

 現在の練習は週4日。大会に向けて持久力やスピードを鍛えてきたほか、フォームの改善にも注力した。コロナ禍でロードやトラックで走ることができず、室内でローラー上での練習が主だったことで「以前のフォームが若干変わってしまった」という。

 レーサー(競技用車いす)は両腕で車輪を回して前進するが、上から下に押し回す動作と、さらにそこから後方まで腕を回して跳ね上げることで2段階の伸びを生む。しかしローラー上では「上から押すだけで車輪が回ってしまう」と、無意識のうちに最後のリリース動作に対する力量が落ちてしまっていたという。東京パラ後は「大きいこぎ、回す動作を意識した」と修正を図ってきた。

 大分国際は2019年に1時間35分50秒の日本記録を出した相性のいい大会だ。さらに今回は安全面への配慮から接触の危険性もある道幅の狭い「テクニカルコース」がなくなり、大半が直線のコースに変更された。減速と加速を繰り返すカーブが減ったことで高速化が指摘されるが、長い坂は増えたという。新コースを走るのも楽しみなようで「その辺りがどう影響するか」と笑顔を見せる。

 東京パラで5位に入ったタチアナ・マクファーデン(米国)ら有力選手も出場するが、他選手は意識せずに「自分のペースで走れたらいい」と淡々と語る。

 東京パラの後は街中で声を掛けられることも増えた。「障がい者スポーツがここまで大きく取り上げられることはなかった。東京開催ならでは。(声を掛けてもらうことは)うれしい」と言う。周囲の期待も力に変え、“自分超え”に挑む。 (長嶺真輝)