モテない逆恨みが女性蔑視になる?~「男性らしさ」から「自分らしさ」へ【国際男性デー2021・下】


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 11月19日は国際男性デー。10月に琉球新報が開催したSDGs(持続可能な開発)オンライン企画では、「ジェンダー平等な社会を実現するには?」をテーマに、男性も交えて議論を交わした。当日の議論の中から、男性デーにちなんで、男性の家事育児への参画や男性の生きづらさについてのトークやグループディスカッションの様子を紹介する。

(デジタル編集グループ・慶田城七瀬)  

 >>【国際男性デー2021・上】仕事も子育ても趣味も「寄せ鍋」で行こう~男性の家事育児、参画促すには?

 

 前半では、この企画で唯一の男性スピーカーである玉那覇敦也さんが男性の家事・育児参画について話題を提供した。その後、参加者らは男性にも弱音をけない生きづらさがあることや、女性にモテる男性の価値が高いとみなされる風潮が女性蔑視につながっているのではないかーなど、幅広く議論を深めた。

 グループディスカッションでは、玉那覇さんの話に対し、女性の参加者からまず感想が上がった。「男性が家事をやることに、女性側も、自分がやったほうが早く終わると思ってしまう。新入社員だと思って家事を教えることが大事という意識をつくりたい」と語った。  

 

家事する男性(イメージ写真)

 また、男性の家事育児についての議論では、結婚や子どもを持つことが前提となっているが、ある男性の参加者は「父親でなければならない、結婚しなければならないということはないと思う。人生の多様な選択肢のロールモデルが必要だ」と話し、「男らしさ」から「自分らしさ」が尊重されることを望んだ。

 さらに、男性が好意を持った女性に拒否された逆恨みで起きた事件を例に挙げ「若い男性は彼女をつくらなければいけない、モテない男性は価値がないと考えている人もいる。卑屈になって女性蔑視につながっていないか」とも投げかけた。

 別の参加者からは「非モテという言葉があるが、モテない男性に価値がないと実際に思っている人もいる。モテる、モテないは人の関係のなかでできるもので、価値がないというのとは違う話だと思う」と話した。

 このオンライン企画では、話題提供者4人のうち3人が女性だった。女性の社会的地位の向上などについて話し合われたが、唯一男性の話題提供者である玉那覇さんのグループに男性参加者が集まる傾向もみられた。これに対しては「それ自体もジェンダーの刷り込みなのかな」という声もあった。 

 
 オンライン企画では、ビデオ音声会議システムZoomを利用して開催。議論の途中にはチャット欄に男性参加者からこんな書き込みも。

”私(男性)も会社を経営しており、女性でもキャリア形成を望んでいない方も多くいるので、なかなか、こちらがキャリアアップの支援をしても、意欲がないところが現実問題としてギャップもあります”

”男性、女性といわず家事も仕事もできる社会にする。残業をなくす。時間で仕事をする時代じゃない。男とか女とかではなく、その人にあった労働環境、待遇が家庭にも反映される”

 さまざまな意見が出た後、最後に参加者らは「ジェンダー平等を実現するには?」という問いに対して、1.「男性も女性も等しく働きやすくかつ家事参画しやすい職場環境を作る」、2.「男らしさ」から「その人らしさ」を大事にする価値観を社会に広めるー、グループとしての提言をまとめて議論を締めくくった。

それぞれの思いや希望を紙に書いて示す、オンライン企画の参加者ら=16日

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