仕事も子育ても趣味も「寄せ鍋」でいこう 男性の家事育児、参画促すには?【国際男性デー2021・上】


この記事を書いた人 Avatar photo 慶田城 七瀬
男性の家事育児への参画について語る「お父Ring沖縄」事務局長の玉那覇敦也さん=10月16日

 11月19日は国際男性デー。男性の健康や生き方を考え、ジェンダー平等を促すことを目的に世界各地で関連イベントなどが開かれる日。10月に琉球新報が開催したSDGs(持続可能な開発)オンライン企画では、「ジェンダー平等な社会を実現するには?」をテーマに、男性も交えて議論を交わした。国際男性デーにちなんで、男性の家事育児への参画、男性が考えるジェンダー平等な社会や、男性の生きづらさについてのトークやグループディスカッションの様子を紹介する。

(デジタル編集グループ・慶田城七瀬)

>>【オンライン企画】SDGs実現へ県民の声届けよう ジェンダー平等について議論

男性でも出産と授乳以外は全部できる

 このオンライン企画で、唯一の男性スピーカーである玉那覇敦也さんが男性の家事・育児参画について話題を提供した。家庭では2人の子どもを持つ父親であり、職場では西原町教育委員会生涯学習課長として部下をまとめる管理職。ライフワークとして、男性の育児参画を促す父親同士のネットワーク「お父Ring沖縄」の事務局長として、父親講座や講演会など活動を展開している。

 

イメージ写真

 父親として子育てに関わった経験から、「男性でも出産と授乳以外は全部できる。ママにできることはパパにもできる」と強調する。パパにもできると理解するためには、代わりにやってみる必要がある。そこで、ママには「赤ちゃんのおしりふきを20枚も30枚も使ってしまうかもしれないが、パパを新入社員と思って優しく指導してほしい」と要望した。

「イクメン」という言葉をなくしたい

 男性が家事育児に参画するためには、育児休暇の取得が進むことが必要だが、直近の国家公務員の男性育休取得率は約3割であることを紹介し、育休を取得する男性が少ない現状で、育休男性を表す「イクメン」と呼ぶことも疑問視する。「イクメンという言葉がなくなる日を目指している」と話し、男性の育休取得率の向上を目指して活動を続けている。

 女性だけに家事育児と仕事との両立をせまるような社会の風潮に「女性が社会進出するには、男性がその分家庭に入らないといけない。そのために男性への意識付けをしていく必要がある」と話した。

 玉那覇さんが講座などでこの話を若い父親にすると必ず返ってくるのは「そうはいっても仕事が忙しくてできない」という返事だ。その答えに対しては、「仕事も子育ても趣味も『寄せ鍋』で行こうよ」と伝えている。「仕事は定時に終えて、子どもを迎えて寝かせた後は自分の趣味の時間。どれもしっかり楽しむ生き方をしませんか」と投げ掛ける。 今の職場で厳しいなら、働き方を変える勇気も必要だと投げ掛ける。「そもそも何のために働いているかと、常に男性自身が問いかけないといけない」と働き方への意識改革も促す。

子育てとテレワークの両立(イメージ図)

 玉那覇さんは管理職として、昭和育ちの50、60代は家庭より仕事優先で長時間労働もいとわない、いわゆる「24時間働けますか」という世代と、20、30代の若い世代の価値観のぶつかり合いも感じている。「今の若い人は仕事も子育ても頑張りたい世代。そこは管理職が理解して社員のライフ情報を積極的に取り入れて、働き方を変えていく必要がある」と職場での意識変革も求めている。

 

父親の覚悟、学ぶ場を 

 男性の育児参画には、父親教育の必要性も感じている。学ぶ機会のないままに父親になってしまい、男性は仕事、女性は家庭、という親の世代の昭和の価値観で父親と同じ事をして、パートナー間のトラブルになると感じている。「学ぶ場があれば、トラブルが減って、離婚率やひとり親世帯の減少につながるのではないか」。

 父親の覚悟をもつには学びが必要だが、学ぶ過程で悩みも出てくる。父親はこうでなければ、大黒柱として儲けなければいけないと言うバイアスに悩む男性もいる。「父親にもつながる場が必要。ゆるくつながって学んでほしい」と「お父Ring」への参加も促した。

 玉那覇さんがこれらを話すときに強調していたのは、「男性は結婚して家庭を持つべき、というのが前提ではない」ということだった。「多様な価値観があって、他者を容認する社会でお互いがうまくやっていくには、理解することが必要。ここでは父親は母親を理解し、子育て世代には社会の理解が必要だ」。子育て以前にも、男性では非正規雇用だから結婚できない、弱音を吐いてはいけないと思っている人もいる。無意識に刷り込まれてきた「男らしさ」から個人を尊重する「自分らしさ」へと意識を変えていく必要性も強く感じている。

>>続きはこちら モテない逆恨みが女性蔑視になる?~男性らしさから自分らしさへ【国際男性デー2021・下】

 


 

【イベント情報】
お父Ringマイスター養成講座「ママのヒーローになろう!」
令和3年11月21日(日)10:00~11:30 沖縄県立図書館大ホール
ゲストに子育て真っ最中の「ミキトニー」こと「糸数美樹さん」を迎え、男性の子育てについて考えます。

詳細と申し込みはこちら https://note.com/tamanaha/n/nae159a52f9e3

【活動情報】

沖縄でも笑ってるお父をふやしたい!

「お父ring沖縄」のHP https://beark5.wixsite.com/otouringokinawa


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