無秩序運用 高まる懸念


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那覇軍港を離陸するオスプレイ=30日午後1時半ごろ

 県や那覇市の反対を一顧だにせず、在沖米海兵隊は那覇港湾施設(那覇軍港)からの垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ飛行を強行した。那覇軍港での航空機離着陸は、復帰時に日米が在沖米軍施設の使用条件を定めた「5・15メモ」の規定に含まれていないが、沖縄防衛局は「主目的に反するものでない限り、航空機着陸を排除しているとは考えない」と追認した。同局の見解は「5・15メモ」を事実上形骸化させたと言え、在沖米軍の無秩序な運用に懸念が一層高まっている。

 今回の飛行について在沖米海兵隊は「日米間の合意に従っている」と主張する。防衛局が使用主目的外の運用を容認したことに対して、県は「何でもできることになる」(謝花喜一郎副知事)と反発していた。

 日米地位協定で米側には提供施設・区域内の排他的管理権が認められているが、県や市町村にとって「5・15メモ」の規定は米軍運用に関する判断基準となってきた。1972年の合意当時非公開だったが、報道や使用条件開示を求める県民世論を受け、国は段階的に公表。97年の全面公表に至った。

 その「5・15メモ」も日本復帰後の在沖米軍基地使用の保障が目的とされ、県民の頭越しで日米が秘密裏に合意したものだ。在沖米軍の無秩序な運用に歯止めを掛ける意味でも、県や地元市町村を交えて議論し、各基地の運用基準制定が求められる。
 (塚崎昇平)