【東京】ベトナム戦争の従軍報道で知られる沖縄出身の報道写真家、石川文洋さん(83)が21日、都内で「緊急沖縄報告」と題して講演した。石川さんは、米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設の中止を訴えるとともに、防衛省が沖縄戦戦没者の遺骨が混じる可能性がある本島南部の土砂の使用を検討していることを報告した。会場に集まった人たちは熱心に聞き入っていた。
石川さんは、9月に撮影したという、辺野古の新基地建設工事や住民らによるゲート前や海上での反対運動の様子を捉えた写真を示しながら紹介した。石川さんは「私が(辺野古の基地に)反対しているのは、ベトナム戦争を見てきたからだ。後方基地がないと戦争はできない。辺野古から出撃した米軍機で、どこかの国の人たちが死んだら、私たちは何ていいわけをするのか」と訴えた。
新基地建設への使用が検討されている沖縄本島南部の土砂についても、今でも沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」代表の具志堅隆松さんが戦没者の遺骨収集をしていることを報告。その上で石川さんは防衛隊として沖縄戦に動員された祖父、安里昌俊さんが南部で亡くなり遺骨が見つかっていないことを明かし、使用の中止を訴えた。
講演は「第3回東京大空襲を忘れない〝平和の集い〟」の一環で行われた。会場には石川さんが撮影したベトナム戦争の写真や、東京大空襲関連の写真や絵画などが展示された。