玉城デニー知事の対立候補は? 名前挙がる4氏、自民動向に注目 沖縄知事選


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玉城 デニー氏

 衆院選が終わり、沖縄県内最大の政治決戦である来年の県知事選に向けた動きが活発化しそうだ。名護市辺野古の新基地建設反対でまとまる「オール沖縄」からは、現職の玉城デニー氏(62)の2期目出馬が「既定路線」(オール沖縄幹部)。玉城氏と対峙(たいじ)することになる政権与党・自民側の候補者選考の行方が注目される。

変わる風向き

 玉城氏の1期目の任期は来年9月29日までで、残り1年を切っている。知事選の日程はまだ確定していないが、今後10カ月以内に実施される。

 2018年9月の前回選挙はオール沖縄体制を築いた翁長雄志前知事の急逝を受けて実施された。翁長氏の後継候補として擁立された玉城氏が過去最多の39万6632票を獲得し、圧勝した。

 今年10月の衆院選期間中に琉球新報社と共同通信社が合同で行った電話世論調査で、玉城知事の県政運営を「評価する・どちからといえば評価する」の回答が69・2%を占め、支持率の高さを見せる。

 ただ就任からこの間、玉城氏を支えるオール沖縄から保守、経済界の関係者が相次いで離脱。衆院選では、14年にオール沖縄体制が出来上がって以降の全県選挙で、初めて自民側の総得票数がオール沖縄を上回った。

 自民党県連の関係者は「前回は弔いムードの中で非常に厳しい戦いだったが、今度の知事選の相手は玉城氏だけだ」と県政奪還に向け息巻く。

有力候補の顔ぶれ

 焦点となる玉城氏の対抗馬について現段階では、前回知事選に出馬した前宜野湾市長の佐喜真淳氏(57)が有力候補の1人として名前が上がる。前回選で玉城氏に敗北を喫したものの、オール沖縄に強い追い風が吹いた状況で約31万6千票を獲得した実績が評価される。

 沖縄担当相の西銘恒三郎氏(67)の待望論もある。県関係自民国会議員のリーダー格でもあり、今後策定される新たな沖縄振興計画の“成果”次第では、さらに擁立の声が強まることも予想される。

 清新なイメージで保革を超えた支持を広げられるとして浦添市長の松本哲治氏(54)を推す声もある。

 オール沖縄から離脱した県議会議長の赤嶺昇氏(54)の名前も一部で浮上するが、県連内では慎重論が根強い。

 一方、新型コロナウイルスの感染拡大で深刻な打撃を受けた県内経済立て直しを前面に打ち出そうと、政党色の薄い経済界からの擁立を探る動きもある。

 候補者選考の時期について、自民県連幹部は「衆院選の本格的な分析もこれからだ。沖縄振興計画の動きもあり、本格的な候補者選考はその後だろう」とする。自民側は来夏の参院選沖縄選挙区の候補者も現状で未定となっており、参院選の候補者選びと連動する形で知事選擁立者について水面下の調整が活発化していくとみられる。
 (大嶺雅俊)