サトウキビの絞りかす「バガス」活用で県産培地を開発 パレットくもじ屋上で実証栽培


社会
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サトウキビの絞りかす「バガス」と、バガス炭を混ぜてつくった県産バガス培地=11日、那覇市のパレットくもじ屋上菜園

 県産の食材を活用した商品の企画・開発を手掛けるフードリボン(大宜味村)と、有機農業指導や飲食業を営む「土と野菜」(那覇市)が、サトウキビの絞りかす(バガス)と、バガスの炭を活用した県産培地を開発した。

 培地は、土壌の代わりに農作物を育てる土台のこと。国産培地の市場は拡大傾向にあるものの、普及している人工のロックウールやヤシ殻ピートは、ほぼ輸入に頼っている。廃棄されるバガスを使うことで、資源の有効利用と地域の活性化につなげる。

 西原英治鳥取大教授の技術協力の下で開発研究を進めてきた。実用化のめどが立ったことから事業化に向け、今秋から那覇市久茂地のパレットくもじ屋上菜園で野菜と食用花の実証栽培も開始した。

県産のバガス培地で育てる野菜を前に「環境や体に優しい循環型農業を広げたい」と話す儀間麻衣社長

 フードリボンの平良香織常務は、人工物は環境に負荷がかかることから、国産で土に返る天然の固形培地が求められていると指摘。その上で「県の特産品であるサトウキビは十分に利用価値がある。沖縄から循環型農業を発信したい」と、バガスを使った県産培地の普及に意欲を見せる。

 培地の原料は、宮古製糖とゆがふ製糖から譲り受けたバガス。一部は自社開発の炭化装置を使って炭にし、双方を混ぜ合わせてつくる。パレットくもじ屋上菜園ではこの培地を使い、トマトや葉野菜を育てている。土と野菜の儀間麻衣社長によると、植物の生育は早く、葉や実の付き具合も良好だという。

 両社は今後、県産バガス培地の販路を県内外に広げていく。儀間社長は「活動の原動力は、ゴミを少しでも減らしたいという思い。バガスは立派な資源。捨てるのではなく、土に返すサイクルを構築したい」と述べ、家庭や教育現場でも使える培地キットの開発にも着手する意向を示した。

 県産バガス培地に関する問い合わせはフードリボン(電話)098(917)1830。

(当銘千絵)