現役警察官ボクサー池本夢実 2年10カ月ぶり12月2日タイトル戦に臨む


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サンドバックに強烈なパンチを打ち込む池本夢実=10月26日、北中城村の琉球ボクシングジム

 日本ボクシングコミッション(JBC)女子フライ級元王者の池本夢実(琉球ジム)が12月2日、東京・後楽園ホールでOPBF女子東洋太平洋フライ級元王者のチャオズ箕輪(ワタナベジム)とのタイトルマッチに挑戦する。現役警察官の池本。多忙な勤務にコロナ禍も重なり、試合日が決まらないまま、世界ボクシング協会(WBA)のランキングは落ち続けたが、その間も怠らずに拳を磨き続けてきた。約2年10カ月ぶりの試合に「いよいよだ」と奮い立っている。

 静岡県出身。15年に琉球大に進学するとすぐに琉球ジムに入門し、めきめきと頭角を現した。16年にプロデビューし、18年3月に国内フライ級女子初代王座を戴冠。大学時代に8戦7勝1敗の成績を残し、卒業後は警察官とボクサーの二足のわらじを履いている。

 10月、琉球ジムの練習では、仲井眞重春コーチらの声掛けにうなずきながら、ひたすら動きを体にしみこませていた。池本は強烈なパンチを武器に前に出るファイタータイプだ。「コーチの言葉を信じて言われたことをやるだけ」と闘争心をたぎらせていた。

 対する箕輪はアマチュア時代は52戦37勝15敗で、アジア選手権で銅メダルを獲得。16年のプロ転向後は9戦で6勝3敗のベテランだ。運動量豊富で足を使い、経験値を生かした試合運びをする。仲井眞コーチは「こちらがやりたいことをできるかどうか。チャンスをつくってどんどん向かっていく」とイメージする。

那覇署地域課に勤務する池本夢実

 警察官になって初の試合となる。勤務する那覇署地域課では24時間以上も勤務が続く日もあるが、ハードな業務をこなすことがボクシングへの自信につながってきた。9月からは職場の配慮で日中のみの勤務に変わり、練習に集中できる環境にしてもらった。池本は「皆に応援してもらっている」と感謝の念を口にする。

 故郷の静岡・川根本町で発足した後援会“夢実隊”の上中通寿会長は「試合のない間に力をつけてきただろう。チャンスを生かしてほしい」とエールを送る。ファイトマネーは沖縄の子ども食堂に寄付する予定だ。世界チャンピオンの夢までまだ途上にいる。「自分だけの夢ではない。ここで確実に取る」と強い決意で臨む。

(古川峻)