「わしたショップ」今後の展望 「銀座」を情報発信拠点に 県物産公社社長・比嘉徹氏<焦点インタビュー>


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「トップセールスで県外へ売り込んでいきたい」と話す県物産公社の比嘉徹社長=12日、那覇市の沖縄産業支援センター

 沖縄県産品を全国に発信するアンテナ店「わしたショップ」を運営する県物産公社(那覇市)の比嘉徹社長。今年6月に、1993年の設立以来初めて社内登用で社長に就任した。新型コロナウイルス感染症の影響で県外での物産展の開催機会が激減するなど、2021年3月期決算は4年ぶりの赤字となるなどコロナ禍の厳しさがある。今後の展望などを聞いた。

 ―新型コロナの影響は。

 「21年3月期の決算では物産・外商部門は前期比で68.3%減、直営店のわしたショップは29.5%減と大きな打撃を受けた。県外のわしたショップでは沖縄に行けない人が沖縄の商品を買い求めに来るケースもあったが、県内店舗は観光客の減少を受けて厳しい状況だ。ライカム店は売り上げの4割がインバウンド(訪日外国人客)だったこともあり、5月に閉店した。ただ、緊急事態宣言が解除されて10月以降は少しずつ回復している」
 「酒類の卸売りは回復している。19年度比で9月までは3割程度だったが10月は7割となり、11月は19年を超えている。首都圏を中心に酒販店からの業務用の注文が多い」

 ―商品開発に力を入れている。

 「商品開発部門をチームから開発室に格上げし、年間で12アイテムの開発を計画している。プライベートブランドの沖縄そばは巣ごもり需要を捉えて非常に人気が高く、欠品が出るほどだ。一口サイズのサーターアンダギーなども開発した。良い商品だがまだ県外に売られていないものの発掘もしていく」

 ―県外での物産展の開催状況はどうなっているか。

 「新型コロナによって開催店舗が減り、厳しい状況は続いている。7月ごろから少しずつ動きが出ているが、百貨店やモールでは試食がなかなかできない。物産公社として、年明けに初めて、カテゴリーを菓子とスイーツに絞って商談会を開催する予定だ」
 「東京銀座のわしたショップは、コロナ前に年間100万人が来ていた。イベントを多く開催し、メディアへの露出も多い。物販だけでなく観光や文化も含めて沖縄の情報を発信していける。銀座の一等地なので、県内市町村や商工会などのイベントや特産品のテストマーケティングで活用してほしい」

 ―社内登用で初の社長に就任した。改めて意気込みを聞きたい。

 「『社員一丸 見せよわしたの底力』をスローガンに、卸担当も店舗担当も一体となってやっていく。現場を経験してきたので、社員のベクトルを合わせていくことができると思う。私自身もトップセールスで県外に売り込んでいく」

(聞き手 沖田有吾)