沖縄振興開発金融公庫(川上好久理事長)は6日、2020年8月から取り扱いを始めた「新型コロナ対策資本性劣後ローン」について、11月末現在で36社に40億円の融資を実行したと発表した。資本性劣後ローンは通常融資より返済順位が低く、一部を資本として見なすことができるなどのメリットがある。沖縄公庫は同ローンのニーズが高まっているとし、引き続き事業者の融資申し込みを受け付けている。
新型コロナウイルス感染拡大で経済活動が停滞する中、沖縄公庫は20年6月、国の第2次補正予算成立を受け資本性劣後ローンの創設を発表した。倒産した場合に他の負債より返済を後回しにでき、借入金ではなく自己資金として組み込める融資のため、財務の安定化や民間金融機関の融資が受けられやすくなる。
全国でも、政府系金融機関の日本政策金融公庫、商工中金が同ローンを取り扱っている。同様の制度は、11年の東日本大震災で被災した事業者向けにも創設された。
沖縄公庫から融資を受けた30社の内訳は「宿泊・飲食サービス業」が28%(10社)と最も多く、「卸売・小売業」「情報通信業」がともに14%(5社)で続いた。実施金額は最小で1千万円、最大4億円となっており、小規模事業者から中小企業まで事業規模に応じて資金繰りを支援している。
うるま市の浄水器製造業者はコロナ禍で営業活動が制限されたため、中長期の事業計画を策定し、沖縄公庫から今年6月に2億円の資本性劣後ローンを受けた。同ローンは借入金と見なされないため、ベンチャーキャピタルや民間銀行からの出・融資による呼び水効果につながった。さらなる業容拡大に向け、現在は土木業界への販路拡大に挑んでいるという。
沖縄公庫は「ポストコロナを見据えた事業展開など、前向きな取り組みにも活用できる」と、事業者支援の取り組みをアピールした。
沖縄公庫では生業資金7200万円、中小企業資金10億円まで融資可能。返済期限は5年1カ月~20年の期限一括返済で、返済までは毎月利息を支払う。
問い合わせは最寄りの沖縄公庫まで。