世界遺産と観光、両立させるには? 名古屋大の香坂教授が那覇で講演


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セミナーを開いた香坂玲教授=7日午後、那覇市泉崎の琉球新報社

 生物多様性条約や県内のサンゴ再生などに関わる名古屋大学大学院の香坂玲教授が7日、那覇市泉崎の琉球新報社で「生物多様性を守りながら世界遺産と観光を両立させる」をテーマに講演した。OKINAWA SDGsプロジェクト(事務局・琉球新報社、うむさんラボ)の会員らが参加した。

 香坂さんは11月に行われた国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)にも触れて、気候変動とも関連し合う生物多様性の課題を指摘。改善には「国も税収が減り費用を負担し切れない時代にあって、企業や市民社会が担わざるを得ない」と強調。民間で楽しく活動を継続する工夫として、ゲーム要素を組み込む仕組みや、目標や進展を「見える化」することを提案した。

 国際的には「生物多様性の自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)」として、今後、企業や金融機関に対し、生物多様性が損なわれた時の自社のリスクに加えて、自社の活動が生物多様性に与えるリスクを評価・公表することも議論されるという。

 自然の保全・活用へ「いろんな金融商品や制度がある」として、地域に密着する中小企業を巻き込み、環境と経済を両立する取り組みの模索を呼び掛けた。
 (黒田華)