自衛隊誘致、討論なく 北大東議会可決 住民、不安の声も


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北大東村への自衛隊誘致に関する意見書案を読み上げる宮城哲也村議(中央)=9日、同村議会議場

 【北大東】9日午前11時23分。北大東村議会議場で、議員全員の右手が挙がった。「全員挙手とし、意見書案第3号は原案の通り可決されました」と上間正巳議長。議員提案で、島内への「自衛隊誘致に関する意見書」は全会一致で可決された。人口561人(2021年11月末現在)、周囲13・5キロの小さな島の将来を左右する審議は、質疑や賛成・反対討論もなくわずか5分半で終わった。

 9日が最終日だった村議会定例会。誘致に関する意見書は最後に審議された。傍聴席には報道陣5人と、補正予算の審議の行方を見守っていた村職員2人の計7人。意見書採決を傍聴する一般住民の姿はなかった。

 5分半の審議は、大半が提案者代表の宮城哲也村議による意見書案の読み上げが占めた。上間議長からの「質疑はありませんか」の問いに議員席からは「なし」との返答があり、「討論ありませんか」の呼び掛けにも同じ返事だった。採決では報道陣のカメラのシャッター音だけが鳴り続けた。

 村内に住む60代の男性は新聞報道で自衛隊誘致のことを知ったという。村や村議会から「説明がないから何も分からない。最初はアリの巣ほどの基地でも、将来的には大きくなるかもしれないよ」と警戒感を募らせた。 (照屋大哲)