クルマエビ140万匹死滅、宮古島で来期の養殖休止 28年続けたが「やむなし」


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
来期の養殖休止となった宮古島漁協のクルマエビ養殖池=4日、宮古島市

 【宮古島】宮古島漁業協同組合が養殖するクルマエビ140万匹が急性ウイルス血症(PAV)で死滅した件で、同漁協は来期の養殖事業の休止を決めた。10日の理事会で決定した。休止中は県や市と連携し、養殖池や周辺海域のウイルス量調査を進める。

 1993年から28年続いた事業を初めて中断する。栗山弘嗣組合長は2023年以降について「休止中の調査結果も参考に、県や市と協議しながら判断する。市には養殖池機能保全計画の再調査を申請している」とした。

 栗山組合長によると、10日の理事会では「継続して来期も同じことになると損害も大きい。休止やむなし」との意見が大半を占めた。休止中は電気料など維持管理費がかかるが「経営判断として支出してよい」との結論となった。

 県によるとPAVは甲殻類のみに感染する。人に影響せず感染したエビは流通していない。同漁協の養殖池では2016年に初めて感染が確認された。以降は毎年、確認されている。漁協は県と連携して原因究明や対策を続けているが、感染経路は特定できていない。作年までは出荷開始時期(11月末)まで発生が抑えられ、感染したエビを取り除いて出荷できていた。今年は生育途中の10月に発生し、1カ月で全滅した。

 2日に漁協と協議した県水産海洋技術センター海洋資源・養殖班の岸本和雄班長は、原因について「養殖場の近くにPAVを持った何か(甲殻類)がいると考えているが特定できていない」と説明した。一定期間(1~2年)の養殖休止について「池を元にもどすという意味では効果がある」との認識も示していた。

 (佐野真慈)