辺野古抗告訴訟2審も沖縄県が敗訴 原告資格を認めず 高裁那覇支部【判決骨子】


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福岡高裁那覇支部

 名護市辺野古の新基地建設を巡り、県による埋め立て承認撤回を取り消した国土交通相の裁決は違法だとして、県が裁決取り消しを求めた抗告訴訟の控訴審判決で、福岡高裁那覇支部(谷口豊裁判長)は15日、国交相裁決が適法かどうかの判断はせず、訴えを却下した一審那覇地裁判決を支持し、県の控訴を棄却した。

 判決後、玉城デニー知事は県庁で記者団の取材に応じ「地方の自主性を切り捨てたようなものだ」と批判。上告も含め、今後の対応を検討する。

 谷口裁判長は判決理由で、行政事件訴訟法が定める取り消し訴訟を起こすには「法律上の利益」を有していなければいけないと指摘。県は国交相裁決によって自治権などが侵害されたと主張していたが「私人が裁判で救済されるべき権利利益と同等のものがあるとは言えない」と退けた。

 埋め立て承認について「県と沖縄防衛局の関係は、公権力を行使する行政庁と私人の関係と異ならない」とも述べた。「県に原告としての資格はなく、訴えは不適法」とし、訴えを却下した一審判決は正当とした。

 埋め立て予定区域の大浦湾側で軟弱地盤が見つかったことなどを受け、2018年8月、県は埋め立て承認を撤回。沖縄防衛局は行政不服審査制度を使って国交相に審査請求などを行い、国交相は19年4月に県の承認撤回を取り消す裁決をした。県は19年8月、国交相裁決の取り消しを求める訴訟を起こした。