首里城正殿の扁額、黄色基調の可能性 新たな史料発見 デザイン変更も


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2019年の首里城火災で焼失した扁額「中山世土」

 2019年の首里城火災で焼失したため、県が新たに製作する正殿の扁額(へんがく)について、製作仕様の参考となる新たな史料が14日までに見つかった。平成の復元時は具体的な仕様が分かる史料がなかったため「琉球王国評定所文書」や他の琉球扁額を参考に、赤を基調とした扁額を製作したが、今回は新たな知見に基づき色味や額縁のデザインが大幅に変わる可能性が出てきた。

 県は扁額の復元に向けた製作検討委を今年6月に立ち上げ、史料の収集や分析などを進めてきた。その過程で新たに、那覇市歴史博物館が保管していた尚家文書内で扁額の仕様を確認した。

 県の担当者によると、文書には19世紀後半に中国の皇帝が琉球王府に贈った「同文式化」の扁額について記載されていた。「中山世土(ちゅうざんせいど)」など、焼失した3枚の扁額の一部仕様についても分かる記述があり、木板の基調が黄色だった可能性が高いことを突き止めた。県では尚家文書から得た「同文式化」の扁額の製作仕様を参考に地板はヒノキ、額縁はイヌマキ材の使用も検討する。

 県の担当者は「色味についてはまだ検討段階だ。有識者を含め国の技術検討委員会とも調整しながら最終的な仕様を決定する」と述べた。
 (当銘千絵)