上原5000メートルで県勢初の13分台 北山で開花した才能「一流の証し」<巻き起こせ旋風 県勢駅伝の歩み>2


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1周目に先頭で引っ張る北山の上原琉翔(2)=7月31日、福井市の9.98スタジアム

 男子5000メートルの高校記録で県勢初の13分台だった。今年4月。北山高男子駅伝部3年の上原琉翔は日体大横浜健志台キャンパス陸上競技場で行われた長距離競技会で、13分56秒84をマークし、昨年10月に自身が打ち立てた県高新(14分18秒47)を21秒63縮めた。競技会は全16組で446人が出場。実業団選手や大学生の中で唯一の高校生だったが、全体で11位と上位につけた。高校男子では「一流の証し」とも称される13分台に突入し潜在力の高さを見せつけた。

 今年、歴代最高のメンバーがそろった北山。そのけん引役が上原だった。

 仲井真中では野球部に所属したが、走力を見込まれ駅伝メンバーとして声を掛けられた。2年生ながら全国都道府県対抗駅伝の県代表に選出されるなど長距離種目で頭角を現した。3年にはエースとしてチームを引っ張り、県中学生大会制覇を成し遂げ全国を経験した。この年も全国都道府県対抗駅伝の県代表に選ばれるなど実戦を重ねる中で、長距離で高みを目指すことを決意して北山駅伝部に進んだ。

 北山を選んだのは大城昭子監督の誘いもあったが、最も大きな理由は中学2年の時に出会った都道府県対抗県代表メンバーで、北山高3年だった島袋太佑の存在だ。島袋は当時10000メートルで30分5秒62の県高新を記録。3000メートルでも県高校記録を持っていた。その速さに憧れを抱くと同時に、北山へ進学する頃には「島袋超え」が一つの目標となった。

 元々のスタミナや脚力に加えて島袋ら多くの選手を育ててきた大城監督の技術指導を受けて、スピードが向上した。豊富な運動量で多くの練習をこなし才能を開花させた。島袋から譲り受けた腰ベルトを常に巻いてレースに挑み、5000メートルだけでなく、1500メートルで3分49秒92、3000メートルで8分18秒86と3種目で県高新を塗り替え、全国でも戦える走者に成長した。

 高い身体能力やばねのある走りなど素質だけではない。大城監督は「物おじしない性格」と「準備する力」に伸びしろを見いだす。練習内容への理解力や習得の早さが優れ、全国と渡り合うレース展開を考える力などが記録更新につながっていると分析する。

 高校生ながら沖縄を代表する長距離選手へと成長を遂げた上原。都大路は1年の時からエース区間である1区走者に起用され経験も積んできた。高校生活の集大成へ。「チームの状態は上がっている。絶対に結果を残す」と闘志をみなぎらせる。
 (謝花史哲)