「ぶつかるより愛したい」Rude-αさん、基地で働いた父、曽祖父の犠牲<つなぐ戦の記憶>


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平和の広場でギターを奏でるRude―αさん=6日、糸満市摩文仁の平和祈念公園(喜瀬守昭撮影)

≫Rude-αさん、新曲で刻む祖母の悲しみ「意味さえ分からなかった」…沖縄戦から続く

 ラッパーとして活躍するRude―αさんは、毎年6月23日になると祖母の福地茂子さん(76)が見たことがない父を思って泣いている姿を幼い頃から見ていた。礎に向かって「安らかに眠ってね」などつぶやく声を聞いた。でも、幼い頃はその意味が分からなかった。

 学校の平和教育で沖縄戦を学び、身近な戦争体験者から「争いからは何も生まれない」といった言葉を聞くうちに、「人とぶつかり合うより愛し合うほうがいい」と考えるようになった。

 父親は米軍基地で働いている。生まれたときから沖縄には基地がある。父が稼いだお金でこれまで生きて来られたし、そのことにも感謝している。なくしてほしいという人もいるからこそ、「生まれたときからそこにあったもの 島に残った基地問題 あっていいのか なくていいのか 僕には答えが分からない」とありのままの思いを歌詞につづった。

 沖縄戦や米統治、本土復帰などを経験した沖縄は、今も米軍基地などさまざまな問題を抱える。歌詞の最後には未来への希望を託した。

 「島の今日に悲しみ喜び 夢の地図に変えて唄に わらびんちゃーの笑顔は光 ずっと守りたい君の未来」。これから生まれてくる子どもたちの笑顔を守っていきたい―。その気持ちを歌詞に込めた。

 Rudeさんは「沖縄に生きている人のアイデンティティーや思いに寄り添える曲になってほしい」と望む。曲を初めて聞く人の記憶に残ることを願って、これからもライブで歌っていく。

 今年7月26日、自身のインスタグラムに曲を投稿し、16日現在、約5万4千回再生されている。曲は来年6月23日にリリースする予定。
 (吉原玖美子)