【浦添】浦添市の宮城ヶ原児童センター(池原千佳子館長)の創立20周年記念式典が11日、同所で開かれた。子どもたちによる空手の演武やバイオリオンの演奏などが披露されたほか、東京パラリンピックの車いすマラソン女子T54で7位入賞した喜納翼さんが「夢と希望で翼を広げてII」をテーマに講演した。喜納さんはパラリンピックの裏話からつらいリハビリ生活などを振り返りながら「日々の積み重ねが未来の自分をつくる」と話し、夢を実現するために「今できること」を助言した。
11月に大分県で行われた大分国際車いすマラソンで3度目となる頂点に輝いた喜納さん。アスリートとして、「(私は)1日も手を抜いたことはない。それが記録につながる」と語った。現在、世界記録との差は8秒。「私は陸上で速くなるために日々練習を重ねている。常に自己新記録を目標にしている。人と比べると緊張する。自分と勝負したほうがいい」と述べた。
喜納さんは子どもたち一人一人に将来の夢を聞いた上で「『何々したい』という思いを掘り下げると目標が見え、今できることが見えてくる」と助言した。
幼少のころ浦添市に住んでいたという喜納さん。沖縄国際大1年の時、部活練習中の事故により、それ以降車いす生活となった。しかし、家族や友人の励まし、持ち前の切り替えの早さ、さらには車いすバスケを題材にした漫画「リアル」(井上雄彦著)の存在もあり、困難なリハビリ生活を乗り越えられたという。「『後悔』はしない。でも『反省』はするがモットー。なにより今は手も動かせる。目も見える。やれることはたくさんある」と、朗らかに笑った。
(吉田健一)