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子どもと自分の違い<伊是名夏子 100センチの視界から>112


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
壺屋の散歩を楽しむ子どもたち

 子どもが8歳と6歳になり、私よりも身長がずいぶん大きくなりました。私にとっては、巨人たちがガヤガヤと騒いでいるように感じられて、怖いと思ってしまう時もあります。力もついてきたので、ちょっとのふざけが、けがにもつながりそうでヒヤヒヤすることもあります。

 そしてなんといっても成長とともに、できること、やりたいことが増えてきたので、危ないことでも「楽しい」「試したい!」という気持ちが勝り、物を壊したり、こぼしたり、時間に遅れることばかりです。「どうしてこうなるってわからないの?」「言いわけしないで」と私はイライラします。怒るのも疲れるし、怒りすぎた時は落ち込みます。子どもの成長に比例して、子育ては楽になると思っていたのに、予想が違いました。

 そんなある日、自分の子どもの時のことを思い出しました。私は自分で部屋を汚しても、掃除機をかけたり、雑巾を持ってきて拭いたりできないので、なるべく汚さないように気を付けていました。物を落としても、車椅子に座っていると拾うことができない、もしくは拾いにくいので、なるべく落とさないように気を付けていました。

 そして自分でカバンを運ぶこともできないので、手伝ってくれる親や周りの人のタイミングに合わせられるよう、余裕をもって事前に準備をしていたのです。できないことが多く、周りにお願いしたり、考えたりすることが普通だったので、周りの動きを見ることが必要で、先を読むことが得意になりました。

 また骨が弱いので、思いっきり動くと、骨折やけがにつながるので、とても慎重でした。それでも私にとっては、そんな毎日が当たり前で、楽しく、我慢ばかりをしていた、かわいそうだったとは思いません。でも今から考えると、年齢の割には考えることばかりしていたように思います。

 だからこそ自由に思い付きだけで楽しそうに動くわが子たちを、理解したり、共感したりすることができなく、イライラしていると気づきました。わが子は私とは全く違う人で、異なる環境・時代を生きている、予想通りにいかなかったり、伝わらなかったりすることがあるのは当たり前だと思うようにしたいです。

 そして私にも、子どもにも、サポートが足りないことも、イライラの原因になります。もっと周りに助けを求めて今を乗り切っていきたいです。


 いぜな・なつこ 1982年那覇市生まれ。コラムニスト。骨形成不全症のため車いすで生活しながら2人の子育てに奮闘中。現在は神奈川県在住。