おからスプーンで豆腐屋を守ろう 食品ロスとゴミ問題に琉大生2人が立ち上がる


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おからスプーンで、プラスチックごみの削減やおから大量廃棄を巡る課題を解決しようと挑戦を続ける崎濱花鈴さん(右)と知念杏珠さん=11月30日、西原町の琉球大

 沖縄の豆腐屋を守り、プラスチックごみ削減とフードロス問題の解決にもつなげる―。難解な方程式を解くような社会問題の同時解決に「スプーン」を手に立ち上がった学生がいる。島豆腐好きの琉球大学4年生の崎濱花鈴さん(21)と、同4年の知念杏珠さん(24)だ。

 崎濱さんは大学3年のとき、ビジネスコンテストへの参加をきっかけに肉を使わないペットフードの生産に取り組んだ。肉の代わりにおからを使う事例があることを知り、ペットフードだけでなく、他の料理の素材としておからが代用できるのではと考え始めた。

 その後、県内各地の豆腐屋に話を聞いて回ったところ、「1日に2トンのおからを廃棄している」ことや、「廃棄費用が経営を圧迫していて、閉店を考えている」と話す店がいくつもあったという。「島豆腐は沖縄の文化。豆腐屋を守らなきゃ」。そう考えた崎濱さんは、活動趣旨に賛同していた知念さんと共にさらに豆腐屋を回り、調査を重ねた。

おからで作った可食スプーン

 豆腐屋で大量発生するおからのほとんどは飼料として使用されているが、栄養価も高いことから「何とか食用として消費できないか」と考え始めた。2人は試作を繰り返す中で、料理に使うだけでなく、食べられるスプーンに変えることで、プラスチックごみの削減にもつながると思い付いた。愛知県におからやカボチャなどの粉末をスプーンに変える技術を持つ会社「勤労食」があることを知り、県内老舗の川上食品(沖縄市)から引き取ったおからを可食スプーンとして商品化した。

 おからスプーンは1本100円(税込み)。発売後、3日で3千本が売れるほど好評で、崎濱さんは「手にした人が、環境やフードロス問題を考えるきっかけになれば」と期待を込める。一方、2人は「これだけでは豆腐屋さんのおから廃棄問題は解決しない」と、さらにおからを進化させるべく挑戦を続けている。現在はおからを使ったカレーやタコライスミートなどをレトルト食品にして流通させようと、試作品作りに取り組んでいる。「おいしい解決方法を一つでも多く作りたい」と知念さん。おからを使った2人の挑戦は続く。おからスプーンに関する問い合わせはokaraokara629@gmail.com。 (嘉数陽)