「時短要請を守っていたのに」…コロナ協力金「不支給」に業界反発、不服申立の窓口求める


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休業・時短営業要請への協力金の不支給通知書などを前に「具体的な理由も示されず、まるで納得できない」と話す秋葉一男さん=27日、浦添市屋富祖の「あきちゃん」

 新型コロナウイルス感染拡大を受けて発令された緊急事態宣言の期間中に、沖縄県が飲食店などに休業や時短営業を要請したことに伴う協力金の支給判断を巡り、業界団体から反発が生じている。県が「不支給」と判断しながら、詳細な理由を事業者に開示していないことが困惑につながっており、関係者は「店の納得を得られないと県に対する不信感が募ってしまい、第6波の時に協力できなくなってしまう」と指摘する。

 理由控え 県に不信感

 浦添市でお好み焼き店「あきちゃん」2店舗を経営する秋葉一男さんは、今年5月23~7月11日の対象期間(第7期)に実施した休業・時短営業の協力金受給を申請していたが、12月に入って不支給の通知を受けた。

 秋葉さんは「2号店は5月23日から休業し、1号店も時短営業と酒の提供禁止を徹底した。(要請を)絶対守っていたという自信がある」と話す。これに対し、県の通知は「全期間、要請に応じたことが確認できないため」として要項の条文を示しているが、具体的にいつ、どのように要請に応じなかったや、何の情報を基に判断したかは示していない。

 秋葉さんによると、休業と時短営業により売り上げは7~8割減少しているという。「蓄えはなくなり、支払いも遅れている。閉店後に後片付けしていたのを誰かに営業と勘違いされたのかもしれないが、県に具体的な内容を示してもらえないと、話し合いの入り口にすら立てない」と話す。

 秋葉さんの申請は、浦添地区社交飲食業組合が代理で申請した。同組合によると、組合が確認した上で申請した店舗について「発令日以前の営業実態が確認できない」などとして不支給が通知された事例が、他にも数件あるという。

 県社交飲食業生活衛生同業組合は21日に、玉城デニー知事らに対して、不支給理由を分かりやすく伝えることや、不服申立窓口を設けることなどを要請した。

 下地秀光理事長は「組合として申請内容を確認した店舗も不支給となり、理由が分からない。不支給の理由がしっかり伝わらないと行政を信じられず、次回以降の要請に協力できなくなる」と危機感をあらわにする。

 県感染防止経営支援課は取材に対し、「総合的に判断している。個別に具体的な審査基準は開示していない」と回答した。判断理由の詳細を伝えた場合に、対策を講じられる恐れがあるという。

 一方、不支給の理由が分かりづらいという意見が寄せられたため、県のホームページによくある事例などを掲載し、理解を広める方針だという。
 (沖田有吾、写真も)