最高齢98歳!そろばん検定にデイサービスの14人全員合格 リハビリ、脳トレに


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棚原一喜代表(手前左)とそろばんを手にする石川光子さん(同右)、最高齢の祖慶トヨさん(右端)ら=13日、名護市大東のデイサービス喜福

 【名護】名護市大東にあるデイサービス喜福は、10月から週2回、利用者向けにそろばん教室を開いている。11月29日に行われた全国珠算連盟検定試験で、わずか2カ月弱の練習期間にもかかわらず、受験者14人全員が合格という快挙を果たした。合格者の最高齢は祖慶トヨさん(98)=伊豆見出身、名護市在住=は13級に合格した。「あいっ! 合格してたの? なんで(壁にある合格者張り紙に)名前が書かれてるかねぇって思っていたさ。お祝いしないといけないさあ~」と、取材で聞かれて初めて合格を知り、周りの笑いを誘った。

 デイサービス喜福でそろばんを取り入れたきっかけは、利用者の石川光子さんの娘で名護市東江で30年余にわたり珠算塾を開いている宮城清美さん。宮城さんはデイサービス喜福の棚原一喜代表(41)に出会って、母親も家族も救われたという。「棚原さんの一生懸命さに心を打たれた。意識が大きく変わって自分に何かできることはないかと思った」と述べ、そろばんを教えることを決意したという。

 高齢になると何もできないと本人も家族も諦めがちだが、そろばんに触れると、利用者らは過去の経験を思い出し集中して学んでいるという。今では週2回学習している。

 棚原代表は「手指を動かすリハビリや脳トレにもなることからも取り入れた。なんといっても集中力がすごい。当初は30分だったが、足りずに1時間に延ばした」と語る。

 利用者の宮城藤子さん(89)=名護市喜瀬出身=は、そろばんを始めて2カ月で11級に合格した。「試験はドキドキしたけど自信はあった。目標はあの世へ9級をおみやげに!」とおちゃめな笑顔をみせた。

 同じく11級に合格した具志堅洋子さん(81)=市大南出身=は9級を目指して猛勉強中。本部町出身の宮里和子さん(70)は「本当は(脳トレの)点つなぎや塗り絵が好き」と話すが、昔覚えたそろばんを、思い出しつつ取り組んでいる。みんな子や孫との会話の糸口にもなっているという。

 きょうも「払って~願いましては~」で始まり、「はい、ご明算!」の声がデイサービスに響いている。

 (宮里美智留通信員)