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建設現場に女性の新風 力仕事も機械とともに…広がる門戸、魅力発信<企業の「女性力」>1


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
業務の効率化を図り、最新鉄筋自動加工機を見学する「teamけんせつ美ら小町」の女性技術者ら=15日、糸満市の小野建沖縄西崎センター

 色鮮やかなマニキュアを塗り、茶髪にピアスの女性技術者たちが、「男性職場」のイメージが定着する建設業界に変革の風を吹かせようとしている。県内の建設会社に勤務する女性社員が集う「team(チーム)けんせつ美ら小町」は、技術の習得や情報交換をはじめ、現場で働く女性技術者たちを動画共有サイト「ユーチューブ」で配信するなど建設業の魅力発信にも取り組んでいる。メンバーは「機械操作は女性もできる。女性ができる建設の仕事は多くある」と声をそろえ、自ら活躍の舞台を築いている。

 「teamけんせつ美ら小町」は2019年7月に結成された。当初は5人ほどだった会員数も、2年たち現在は32人にまで増えた。そのうち約8割の25人が技術者として建設現場や工場で汗を流している。

 「男性職場」のイメージが強い建設業界において、女性たちは偏見にさらされることも少なくない。

 1級土木施工管理技士の資格を持つ平井聖子さんは就職活動をしていた数年前、ある県内企業の人事担当者に「女性は事務所にいるものだ」という言葉を浴びせられた。建設現場での仕事を希望していたが、「現場にいる女性は見たことがない」と受け入れられなかった。

 一方で、平井さんを採用した丸元建設(那覇市)は、女性が社長を務め経営を切り盛りしている。同社の糸数幸恵社長は「teamけんせつ美ら小町」の共同代表として、企業の枠を超えた女性技術者のネットワークづくりを呼び掛けてきた一人だ。糸数社長は「女性技術者が建設業で頑張っていることを発信しないと、就職やキャリアチェンジしたい女性にとって職業の選択肢にも入らない」と語り、業界として女性に門戸を広げていく意義を強調している。
 (呉俐君)


 近年、「女性活躍」という言葉を耳にする。企業に勤める女性の人数は増えているが、出産や育児を機に約半数が退職している実態がある。果たして女性が求めている「活躍」は実現できているのか。働く女性が置かれている現状や課題などを紹介する。

「建設現場、偏見に挑む女性たち」につづく


 

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