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日焼けが嫌い、重い物は持ちたくない?女性たち、建設業界の偏見に挑む<企業の「女性力」>1続


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業務の効率化を図り、最新鉄筋自動加工機を見学する「teamけんせつ美ら小町」の女性技術者ら=15日、糸満市の小野建沖縄西崎センター

 性別を理由にした職業差別の禁止や男女の平等を定めた男女雇用機会均等法が1986年に施行されてから、今年で35年がたった。

 総務省労働力調査によると、県内女性のうち働く人の割合を示す労働力率は右肩上がりで推移し、2020年は55.2%と全国平均の53.2%を上回る。18年時点で県内の女性の雇用者数は29万人となり、全体の47.5%を占めている。

 沖縄は元々、夫婦共働きの割合が高く、女性の活躍が推進されているように見える。だが、沖縄国際大経済学部の名嘉座元一教授は「政府は女性活躍と言うが、賃金格差はまだまだ大きい」とくぎを刺す。

 男女間で格差があるのは、全国も沖縄も変わらない。厚生労働省の賃金構造基本統計調査(20年)によると、県内男性の平均年間給与(賞与や臨時手当などを含む)が417万円に対して、女性は304万円にとどまる。男女間では、113万円の開きがある。

 名嘉座教授は男女格差の解消に向けて「企業努力は不可欠だ」と指摘する。「企業は『どうせ長続きしないだろう』といった偏見を持たず、女性従業員にもスキルアップ研修を実施することなどが重要だ」と提言する。

 「女性は日焼けが嫌いだろう」「重い物を持ちたくないだろう」―。

 建設現場で働く女性技術者の連携や育成を目指した「teamけんせつ美ら小町」(共同代表・糸数幸恵丸元建設社長、坂口智美建設技術者養成センター社長)のメンバーらが15日、糸満市内で定例交流会を開いた。会では、メンバー自身が直面した女性への偏見について語り合った。

 建設資材を加工・販売する小野建沖縄(那覇市)の営業部に勤務する青木真弓さんは、「男性は赤い髪色でもいいのに、女性がちょっと髪色を染めただけで『そんな派手な格好で何しに来たか』と言われたことがある」と振り返った。男性は認める一方、女性には注文を付ける。対応の違いに関する疑問を率直にぶつけた。

 「teamけんせつ美ら小町」は活動をさらに充実させようと建設現場や工場への見学会を定期的に行い、メンバーとの親睦を深めている。今後は会員の要望を踏まえた勉強会を開催し、参加者のキャリアアップも支援することにしている。

 糸数社長は「情報提供することで女性や学生をサポートしていきたい」と話し、建設業界で女性が活躍する未来への展望を描いている。
 (呉俐君)


 政府は「2020年までに指導的立場の女性を30%に」という目標を掲げていましたが、達成できていません。結婚や出産などを機に、仕事の継続やキャリアアップを諦めざるを得ない状況が続いており、連載では女性が直面する課題を取り上げます。

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「建設現場に女性の新風」からつづく