沖縄にプロスポーツ根付き 子どもたちの憧れに 金城茂之 <県勢アスリートの軌跡>


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bjリーグ西地区決勝の大阪エヴェッサ戦でシュートを放つ金城茂之さん=2009年5月16日、東京の有明コロシアム

 学生の頃、バスケットボール国内トップリーグの実業団入りは極端に狭き門だった。「10チームもなくて、大学で活躍するエリートじゃないと入れない」。全国トップの選手ではなかった金城茂之さん(37)は「バスケは大学まで」と感じていたという。

 潮目が変わったのは大学4年時の2007年。大学で転向したガードが定着した頃、琉球ゴールデンキングスが誕生したことが耳に入ってきた。「もうちょっと続けたい」と合同トライアウトを受け、練習生を経てキングスと契約した。

 キングスはbjリーグ参戦2年目の08―09シーズンに初優勝し、自身はMIP賞を獲得した。

 「街中で声を掛けられることが増えてプロの自覚が芽生え、応援に応えようという気持ちも湧いてきた」。内面や周囲の環境はがらっと変わった。

 Bリーグでは今も多くの県勢ガードが活躍する。bjリーグ設立以降、選手の裾野が広がり「沖縄に多い、背の低い選手の生きる道ができた」とうれしそう。

 FC琉球や琉球コラソンも設立され、沖縄にプロや実業団スポーツが根付いた2000年代。金城さんは「子どもが地元チームを目指せる環境は大きい」と、競技力向上の一端になっていると見る。 
  (長嶺真輝)

bjリーグ初優勝時を振り返る金城さん=21年12月、宮城県仙台市

 きんじょう・しげゆき 1984年11月23日生まれ、37歳。北中城高、大東文化大出。仙台89ERSアシスタントコーチ。琉球ゴールデンキングス創設から12年所属した“ミスターキングス”。

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