<ひと>琉球新報短編小説賞を受賞した赤星十四三さん「諦めないこと大切」


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 子どもの頃から読書好き。高校生や大学生の時は図書館などで、村上春樹の「ねじまき鳥クロニクル」や村上龍の「69 sixty nine」ら国内の作家の作品に加え、米作家サリンジャーの作品などを読んだ。

 小説を書き始めたのは、20代後半。友人で、作家のてふてふPさん(本名・富永尚也)=第28回琉球新報短編小説賞受賞者、2013年に死去=との出会いがきっかけだ。小説を書き、てふてふPさんや仲間に読んでもらうなど、交流を深めた。30代になると何度か文学賞へ応募した。04年には新沖縄文学賞を受賞した。

 営業職として勤務しながら、創作活動に取り組んでいる。作品のアイデアが見つかって、物語を組み合わせながら文章を練る作業が楽しく、やりがいを感じるという。

 受賞作「今度、チェリオ持ってくる」には沖縄の文化や社会がさりげなく織り込まれる。主人公の男性が実家で旧盆に参加する場面では「父の代から紙銭(ウチカビ)をしなくなった」「9時前にご先祖様はあの世(グソー)へ帰ってしまった」など、儀礼の簡素化傾向も反映した。

 文学賞に応募しても、良い結果につなげるのは簡単ではない。その中でも、てふてふPさんが書き続けている姿勢を見て、自身も「小説を書く人は諦めないことが大切」と意識するようになった。

 好きな言葉は米大リーグや日本のプロ野球で活躍したイチローさんが言った「小さなことを積み重ねることが、とんでもないところへ行く、ただ一つの道」。沖縄市生まれ、うるま市具志川出身。47歳。

 (古堅一樹)