米軍コロナ検疫、日韓で違い 在韓米軍は韓国側も検査 日本では米軍が検査拒否


社会
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 米軍関係者の入国時の新型コロナウイルス検疫を巡って、日韓の駐留米軍間で対応に違いが出ている。在韓米軍は隔離終了時の検査を韓国側で実施しているが、在日米軍は日本側での変異株検査を拒否した。

 在日米軍は9月以降、日本への出発時のPCR検査義務を解除していた。キャンプ・ハンセン(金武町など)でのクラスター(感染者集団)発生を受け検疫体制を強化し、日本への出発72時間前までに実施することに変更した。日本への入国後は14日間の隔離措置を実施するが、検査は5日目の1度だけで、実施も米軍側だ。隔離中も基地内の一部施設は利用できる。

 在韓米軍は今月3日に、オミクロン株の流行を受けて米軍関係者の韓国入国時の新たな隔離措置を発表した。隔離期間は10日間だが、隔離開始時と終了前の2回、PCR検査を実施する。1回目は入国1日目に米軍側が実施し、2回目は韓国側が8~9日目に実施する。出発72時間前までの検査も、在日米軍同様に実施している。

 韓国で実施している受け入れ国による検査について、県はキャンプ・ハンセンでのクラスター発生時、感染経路の早期解明などのため、日本側で変異株かどうかの検査を実施するよう求めた。これに対し、米側は個人情報保護を理由に拒否していた。ゲノム解析は米側で実施され、29日までに全体の約47%をオミクロン株に認定した。日韓での対応の差について、琉球新報の取材に外務省担当者は「駐留国ごとに検疫の状況が違う。日本政府の水際対策と米軍との整合性を取っていくことが重要だ」とし、問題視しない姿勢を示した。

 沖縄国際大の前泊博盛教授(安全保障論)は「自国の主権を強調し、米軍に改善を求める姿勢の違いが日韓両政府の間で表れたのだろう」と指摘した。 

(塚崎昇平)