沖縄県内でも猛威を振るった新型コロナウイルス、県勢が大活躍した東京五輪・パラリンピック、やんばると西表、奄美の世界自然遺産登録などニュースがめじろ押しだった2021年も残りわずか。出産し本格的にタレント活動を再開した糸数美樹さん、東京パラリンピックで県勢初の同一大会2個のメダルを獲得した上与那原寛和さん、コロナ禍でアートイベント開催に奮闘したホテルアンテルーム那覇の崎原未帆さん、国内のプロスポーツチーム運営企業として初めて株式市場に上場した琉球アスティーダスポーツクラブ代表の早川周作さんにこの1年を振り返ってもらった。
子育ての気付き 形に 糸数美樹さん タレント
2020年7月に娘が生まれた。今年1年は子育てをしながら、少しずつ仕事を再開している。現在は琉球放送(RBC)の「Aランチ」や「コザの裏側」、FM沖縄の「カヌチャリゾートプレゼンツTAKE A REST」と3本の番組に出演している。
今は子育ての中で感じたこと、考えたことを形にしていく段階。コロナ禍になり、子どもの外出がなかなかできないのがつらく「何もしてあげられない」という思いから、5月に親子イベントを企画したが、新型コロナの影響で開催できなかった。
オリンピック、コロナ、高2男子生徒の指導死問題など考えさせられるニュースが多くあった。指導死問題はわじわじーした。傷つく子どもたちが増えないでほしいと願っている。
来年は子育てと仕事を両立できる年にしたい。明るい話題をたくさん届けたい。子育てについて発信する機会が少ない。子育てをする人の背中を押せるような場所を作れたらいいな。
仲間と共に走り抜け 上与那原寛和さん 東京パラ・メダリスト
8月から9月にかけて開かれた東京パラリンピック陸上男子車いすT52の400メートル、1500メートルで銅メダルを獲得した。
二人三脚で練習を共にしてきた伊藤智也選手には感謝しかない。兄貴的存在で大きな支えとなった。伊藤選手は、T52から障がいが一つ軽いT53へ大会直前にクラス変更となった。同じスタートラインに立てず、ショックと複雑な思いだった。
「お前がメダルを取ってこい」と背中を押された。平常心でレースに臨み、二つのメダルを獲得できた。「やったな」と共に喜んでくれた。走り方、レース展開の読み、あらゆる面で気兼ねなく相談できる間柄。伊藤さんの力も加わっての走りだった。50歳だが体力の衰えは感じていない。柔軟体操で肩甲骨の可動域を広くし、けがをしない体作りにも取り組んでいる。
来年の世界選手権は中止になったが、アジア大会がある。23年の世界選手権、24年のパリ大会へ一歩ずつつなげていきたい。
コロナ禍でつながり 崎原未帆さん ホテルマン・ギャラリースタッフ
アート&カルチャーをコンセプトにしたホテルが自分にマッチしていてアンテルーム那覇で働き始めたが、ホテルマンとしてはまだまだ卵。オープンしてすぐ新型コロナの影響が出始めて、休館することもあった。ただ、今年は緊急事態宣言下でもイベントを開催できた。中止や規模を縮小せざるを得ないものもあったが、出展するクリエーターさんと一緒に手探りで作り上げ、盛り上げられたと思う。
ホテルではプラスチックの使い捨ての容器やストローを提供していたが、お客さまからの要望などを受けリサイクル資材に変えた。サステナブル(持続可能)な社会の実現の一環として取り組んでいる。
この一年は新型コロナウイルスの感染拡大で大変だった。だから東京五輪・パラリンピックでの県勢の活躍や西表島、やんばるの世界自然遺産登録などに勇気づけられた。来年はこの間のつながりを生かし、耐えてきた力を発揮したい。
日本一実現に手応え 早川周作さん アスティーダスポーツクラブ代表
激動の1年だった。2月にプレーオフファイナルという卓球の日本一決定戦で優勝を果たした。初年度はダントツ最下位からのスタートだった。同日に、「TOKYOPROMarket(東京プロマーケット)」上場の対外公表があり、3月に上場が決まった。会社設立から3年で「上場会社を作る」「日本一のクラブチームを作る」と公言してきた。それが実現できた実りのある年だった。
投資の1年でもあり、マーケティング会社、マネジメント会社、九州アスティーダの3社を立ち上げた。売り上げは伸びているが今季はあえて赤字を出すと思う。来年は、今年まいた種を刈り取る時期になる。年間10~20%のペースで売り上げを伸ばしたい。
次は2023年を目標に福岡証券取引所に市場を変える準備を進めている。東京プロマーケットよりも厳しい審査を受けることになるが、九州、沖縄を代表する企業として世界に行きたい。