「大好き沖縄」80号目に 投稿者に愛されて 山小屋拠点に発行続ける 今帰仁


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 【今帰仁】1997年刊行の投稿雑誌「大好き沖縄」の80号がこのほど発刊された。今帰仁村諸志の畑に隣接した「山小屋」を拠点に、東京都練馬区の編集部と連携しながら雑誌づくりを続けるのは出口富美子さん(81)と牧野洋二さん(72)。一時資金難から発行の断念を決意したこともあったが、県内外の投稿者や愛読者に支えられ、節目となる80号の発刊にこぎ着けた。

投稿雑誌「大好き沖縄」の80号を手に継続発刊に意欲を見せる出口富美子さん(左)と牧野洋二さん=12月21日、今帰仁村諸志

 「大好き沖縄」は全国の沖縄ファンと、ウチナーンチュの手紙を1冊にまとめた雑誌。詩人で陶芸家の出口さんが沖縄で開催したシーサー展に訪れた県内外の人々から多くの手紙が寄せられたことを機に「手元だけにとどめておくのはもったいない」と創刊した。

 定価500円の冊子を年3回発行する。出口さんが描いたシーサーの表紙画を開くと、巻頭ページには毎回、詩を掲載している。80号は名護湾の美しさを詠んだ芥川賞作家火野葦平さんの詩を紹介した。「うちなーぐち創作民話」は出口さんが沖縄各地に伝わる民話などをヒントに創作した物語を米須朝榮さんがうちなーぐちに翻訳しており、うちなーぐちも学べる人気コーナーだ。

 編集スタッフの牧野さんが手掛ける「沖縄と東京の新聞記事比較」は全国紙と沖縄2紙の社説の論調を比較することで、さまざまな視点があることを伝えている。

 北海道出身で、長年住み慣れた東京から昨年5月に沖縄に移住した出口さんは「東日本大震災の時などに印刷代が払えなくなりそうになり、雑誌をやめようと思ったこともあるが、会員や読者からの手紙に励まされてきた」と述べ、雑誌の継続に意欲を示した。

 (松堂秀樹)